PISAランクから考える日本の教育の限界
ランキング上位に入っていることを鑑みると、日本の教育が良質であることは明らかです。しかし、特に読解力で苦戦している面や学習意欲や学習習慣に関しては、大きな課題があると考えられています。
従来の日本型教育では戦えない?
2003年のPISAショックを受けて、日本では昭和50年代以降のゆとり教育に対する反省が行われました。ゆとり教育への批判が、この調査結果を受けて加速したのです。そして、学力が下がったとし、以前の学力に戻そうとする動きが生まれたのです。
しかし、PISAは「新しい学力=思考力・読解力」を問う調査です。ただ詰め込み式に戻すだけでなく、より思考力や読解力を高める教育に取り組もうと教育行政は転換期を迎えています。
例えば、政府は、読解力向上のため、語彙力の向上・情報を読み取るプロセスに着目した指導のみならず、教育現場のICT化を加速させようとしています。
コンピューターを利用した試験に慣れていないが故の誤答もあり、学校でのICT利用が非常に少ないという現状も結果に影響していると考えられます。他国と比べるとICT利用率はかなり低く、95%以上の学校が国語の授業においてICTを利用した授業を実施していないと回答しています。そのため、ICTの導入は急がれています。
答えの暗記から、「正解のない問い」を考える力へ
PISAの問題はこのように情報を読み取り、習った知識を使うことが求められます。実際の問題は、以下を見てみてください。
OECD 生徒の学習到達度調査Programme for International Student Assessment~ PISA2015年調査問題例|文部科学省国立教育政策研究所
論述等、正解を見つけるだけでなく、考えることが求められています。特に日本の生徒は、自由記述問題に対しての無答率も高くなっています。普段から、国語のテスト等において、自分で発信するような回答より、選択式の問題が多く、趣味的なことに感想を述べることも多いことから、根拠を持って記述する形式に慣れていないという問題もあるでしょう。
PISAでは、4割ほどが自由記述式の問題になっています。答えをただ当てにいくのではなく、自分で考える力を求めているのです。