1・決まり字で覚えよう!
百人一首は句を覚えることが基本です。かといって百首すべてを覚えるのは容易なことではありません。百人一首には決まり字というものがあります。これを利用すれば早く覚えることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。
普通のいろはカルタと百人一首の違い
いろはカルタの場合、『いぬもあるけば ぼうにあたる』の札は、取り札にも『い』の字が書いてあります。百人一首の場合は、読み手は「5・7・5」の上の句、取り手は7・7の下の句しか書いてありません。いろはカルタには絵が描いてあることが多いですが、百人一首の場合は字のみです。百人一首は「見て分かる」ものではなく、歌=句を覚えていればいるほど有利になると言えるのです。
決まり字とは?
「決まり字」とは、そこまで聞けば下の句が特定できる、上の句にある最小限の文字数のことで、一字決まりのものから六字決まりのものまでがあります。百首全部を覚えるのは大変なので、決まり字のある句を覚えるだけでも、ずいぶんと覚える数は増えていきます。一字決まり以外にも、決まり字の数によって、二字決まりが42首、三字決まりが37首、四字決まりが6首、五字決まりが2首、六字決まりが6首あります。
まずは、初級編!一字決まり
いきなりすべての決まり字を覚えるのは大変なので、最初は一字決まりから挑戦してみましょう。
上の句 | 下の句 |
---|---|
むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに | きりたちのぼる あきのゆふぐれ |
すみのえの きしによるなみ よるさへや | ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ |
めぐりあひて みしやそれとも わかぬまに | くもがくれにし よはのつきかな |
ふくからに あきのくさきの しをるれば | むべやまかぜを あらしといふらむ |
さびしさに やどをたちいでて ながむれば | いづこもおなじ あきのゆふぐれ |
ほととぎす なきつるかたを ながむれば | ただありあけの つきぞのこれる |
せをはやみ いはにせかるる たきがはの | われてもすゑに あはむとぞおもふ |
一字決まりの句は7首しかありません。頭文字を取って「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」と覚えることが多いようです。「む」と読んだら「き」、「す」と読んだら「ゆ」など、あらかじめ覚えておくだけで素早く札を取ることができます。
語呂合わせを使って
小学生くらいで百人一首を覚えるには、語呂合わせでの覚え方がおすすめです。語呂合わせとは上の句の始まりの何文字かと、下の句の始まりの何文字かを分かりやすく選んで、なんとなく意味のある言葉にしてしまうことです。
句 | 語呂 |
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田子の浦に うちいでてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ |
田子ノ浦 富士子ちゃん |
奥山に もみぢふみわけ なく鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき |
奥山君の 声を聞く |
かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きをみれば 夜ぞふけにける |
傘が 白い |
天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に いでし月かも |
天野 ミカ |
わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり |
わがいほは 宇治山 |
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに |
花の わが身よ |
みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし 我ならなくに |
道の 乱れ |
特にこれでいけないというルールなどはありません。ここで紹介したもの以外にも、自分で覚えやすい語呂合わせを考えてみてください。