文部科学省の提唱する「豊かな人間性」を家庭でどう身につけるのか - cocoiro(ココイロ) - Page 2

豊かな人間性を育む学校教育とは

豊かな人間性を育む学校教育とは
豊かな人間性を教育するため、全国の学校でさまざま取り組みが行われています。ここでは、2000年に広島県立教育センターが行った「豊かな人間性をはぐくむ教育の創造に関する研究」より、小・中学校の一例をお伝えします。

小学校の事例

広島県東広島市立板城小学校では、「一人一人のよさを認め合い,心豊かにかかわる児童の育成」というテーマの元に取り組んでいます。具体的には、「総合単元的な道徳学習」で小学4年生を対象に地域との関わりをとおして、地域を大切にし、できることを自らできる意欲を養うことを目的としています。

道徳の授業で、『バスていのごみ入れ』という資料を活用して、ごみの散乱する写真や登場人物の心情について話し合い、自分自身の生活を振り返ってもらいました。そして、地域で毎朝、清掃活動をしている方の話を聞きました。その結果、生徒の体験を基に話し合いをして、生徒同士の関わり合いを深め、狙っていた価値観に近づけることができました。

中学校の事例

広島県大竹市立大竹中学校では、「子どもが自己存在感をもてるようにする教育相談活動」というテーマを設定しました。その中で教育相談プロジェクト委員会の設置、校内教育相談室(リフレッシュルーム)の設置、校外教育相談室の設置などを行いました。

部活動や友人関係で不登校になっていた中学3年生の女子生徒への関わり方を紹介していました。生徒の自己肯定感を高めるメッセージを送り、教育担当者の傾聴をとおして、徐々に関係を作り、体育祭や吹奏楽コンクール、クラスの誕生会などに顔を出すようになり、再登校に至っていないながらも、明るさを得て将来に意欲を持つようになりました。取り組みの成果としては、生徒が周りから自分のありのままを受け入れてもらえたことで、心のゆとりや自己肯定感を得たことが変化につながったとしています。また、担任が生徒のことをクラスメイトたちに話したことで、生徒の心にみんなが仲間であるという心が芽生えていきました。

参考
豊かな人間性をはぐくむ教育の創造に関する研究|広島県立教育センター