日本国内で行われている主な取り組み
それでは次に、子どもの権利条約における日本での主な取り組みについて紹介します。日本国内では、1994年に日本政府が子どもの権利条約を批准して以降、各地域で子供の権利を守る動きが広がっています。
県や市が条例を制定
例えば、兵庫県川西市では、1998年に「子どもの人権オンブスパーソン条例」が制定されました。提案理由は以下となります。
本市における児童の権利に関する条約の普及に努めるとともに、いじめ問題をはじめ子どもの人権に係る諸課題の解決に寄与する川西市子どもの人権オンブズパーソンを設置し、もって本市の一人一人の子どもの人権を尊重し、確保するため本案を提出する。
(引用元:川西市子どもの人権オンブズパーソン条例全文|川西市)
日本では学校でのいじめ問題がたびたびニュースなどで報じられています。兵庫県の川西市では、条約で子供の人権を守ることで、いじめ問題などの社会問題への問題解決へと働きかけています。
また、神奈川県川崎市では、2001年に「子どもの権利に関する条例」を制定し、さらに、条例案づくりに際しては市民参加という体制を取り、注目を集めました。川崎市の各区で地域教育会議主催の「教育を語るつどい」や「こども座談会」などの話し合いが行われ、子供の権利や権利条例案についての意見交換がされたと言います。
国連での取り組みも
国連では「子どもの権利条約」の見直しを行い、2000年5月に選択議定書が、2011年12月にも選択議定書が採択されました。選択議定書とは、条約を実施する中で補足事項などを提案する文書のことで、例えば、第38条では、「15歳未満の子どもを兵士にしてはならない」と定めていますが、選択議定書が出されることで、兵士として認められる年齢を15歳から18歳に引き上げるなどの措置が取られています。
ほかには、子供の売買や買春に関する選択議定書で、第11条、第21条、第32条、第33条、第34条、第35条、第36条で定められている「子供の権利」を保護するため、子供の売り買いや子供を性的に搾取する買春を禁止し、違反した場合は取り締まりを強化することなどが制定されました。