「臨界期」を信じ込み過ぎるのも注意が必要
日本在住の場合、英語習得のために臨界期を活かすのは難しい
臨界期に子供に英語を習得させるため、英会話教室に通わせる人もいるかもしれません。しかし、残念ながら、幼少期に子供を英会話に通わせても、臨界期を活用した言語習得にはつながらないのです。実際にある程度までは英語を話せるようになるでしょう。しかし、ネイティブ同様の英語を身につけることはできません。なぜなら、日本は英会話教室以外で英語を使用する環境がありません。そのため、週1度子供を英会話教室に通わせるのが臨界期であろうと、なかろうとその効果に違いはありません。
ですが、親御さんの事情などで幼少期を海外で過ごした場合には、ネイティブ英語も話せるバイリンガルになります。その場合には、親御さんの母国語「日本語」に加えて、周囲の環境の「英語」、両方を基にした言語的知性を身につけられます。その場だけの言語教室では、英語に限らず臨界期に焦って身につけさせても効果を得られません。
ちなみに、ごくたまに「オオカミに育てられた少年」として、まったく人間の言語を話せない子供が話題になることがあります。オオカミ少年は、幼少期に周りをオオカミに囲まれ、オオカミの遠吠えなどに影響を受けながら臨界期を過ごしたため、人間の言語を習得できなくなったのです。臨界期にどういった環境にあるかは、子供にとって重要です。
子供が義務感で習い事をしてしまう
親御さんが「子供にこうなってほしい」という思いが強すぎて、臨界期にあれやこれやと習い事をさせるのは、子供にとってはマイナスになりかねません。子供の将来を思う親御さんの気持ちは素晴らしいことですが、それが子供への押しつけになってしまうでしょう。
自分の両親から「あれをやりなさい」「これをやりなさい」と言われ、嫌々ながらもこなした経験はありませんか?気づかないうちに、親も同じことをしてしまっている可能性もあります。子供は、親の期待に応えようと無理に学習を続けているかもしれません。子供の義務感にならないような工夫をしてあげたいものです。