核家族化は本当に進んでいる?問題視され続ける核家族化の影響と真実 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

核家族化が進む原因とは?どうして核家族が増える?

どうしてこんなにも核家族化が進んでいるのでしょうか? 今回は核家族が増える原因について、3つご紹介します。

自分自身が核家族で育った親が増えている

前掲のグラフからも読み取れるとおり、核家族の世帯は高度経済成長期には日本の世帯全体の約70%に及んでいます。現在家庭を築いて親世代となっている人々の多くが、自分自身も核家族の世帯で育っていると言えるでしょう。

自分自身が核家族の中で育っている場合、祖父母と一緒に住むという感覚がつかみづらい可能性があります。したがって自分に家族ができた際に「親と一緒に住む」という選択肢が頭に浮かびにくい可能性があるでしょう。

進学や就職で単独世帯となり、その地で結婚する

核家族化が進む原因の1つには、子供が進学や就職にあたって地元を離れ、単独世帯となることが影響していると考えられます。単独世帯となった子供が地元に戻らず、その地で結婚し家庭を築いていくのです。

国立社会保障・人口問題研究所の調査の1つに、「日本の世帯数の将来推計」があります。調査によれば単独世帯数の推移は、以下のグラフのように表すことができます。

単独世帯数の推移

(引用元:『日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2015(平成27)年~2040(平成52)年 2018(平成30年)年推計』報告書|国立社会保障・人口問題研究所,P12 表Ⅲ-1.家族類型別一般世帯数および割合のb)単独世帯数推移グラフより

調査を開始した1980年は、単独世帯の数は約7,000世帯でした。しかし、その数は減少することなく増え続け、2015年には約2万世帯に迫る数まで増加していることが分かります。

単独世帯が増えることは、親元を離れて暮らし始める子供が増えていることを指しています。進学や就職を機に両親と別居を始め、移り住んだ地で出会った人と結婚する人もいるでしょう。その結果、核家族世帯の数が増えることにつながっていると考えられます。

祖父母と同居ではなく近居する家族が増えている

核家族世帯の中には、両親との同居ではなく近居という選択肢をとっている家庭もあります。国土交通省の調査によれば、既婚者とその親との近居の状況については以下のように報告されています。

既婚者とその親との住まい方の実態

(引用元:【別添2】既婚者とその親との住まい方-「近居」を中心とした実態と将来意向-|国土交通省

このグラフから、既婚者の家庭が、その両親の住まいまで徒歩10分から車・電車で1時間までのところに住んでいる割合が全体の半数であることが分かります。同居とまではいかなくても、両親にすぐに会える距離に住むことを選んでいる家庭も多くいるのです。

特に30代の世帯のグラフでは、両親との同居家庭の割合こそ低くても、近居の割合が高くなっていることが分かります。両親の住居まで車・電車で1時間以上の距離に住んでいる世帯よりも、同居または近居している世帯の方が多いのです。

こうした実態について、実践女子大学人間社会学部人間社会学科の広井多鶴子教授は以下のように記述しています。

核家族は孤立した家族であるかのように言われるが、これらのデータからすると、そうした理解自体が怪しくなる。
今日の親世代は祖父母との同居は少なくなっているものの、近くに住むことで、祖父母と新たな関係を築いているものと思われる。

(引用元:「核家族化が進んでいる」は本当か? データから徹底検証|現代ビジネス

核家族という言葉を聞くと、マイナスの印象を持つ人もいるでしょう。それは親族の繋がりから離れることで、孤立した寂しい世帯となることをイメージさせているからかもしれません。

しかし、近所に住むという選択肢をとることで、近すぎず、それでも何かあった際にはすぐに駆けつけられるような距離感を保つことができます。それぞれの生活に干渉しすぎることを防ぎ、新たな関係を築き上げながら生活している人もいると考えられます。