海外の実情も紹介。学級崩壊を防ぐ親と先生に求められる「あり方」とは - cocoiro(ココイロ) - Page 3

なぜ学級崩壊が起こるのか

親の過保護と過干渉

では、なぜ日本では学級崩壊が起こってしまうのでしょうか。
小学校低学年のクラスで、問題行動をする生徒の特徴は「甘えたがり」です。1人っ子や2人兄弟姉妹の増えた現代では、親が子供に対して「過保護」「過干渉」になる傾向があります。昔は子供が多く、兄や姉が下の子供の面倒を見てくれるので、親が子供たちを放っておくこともありました。必然的に子供が自立心を持って育つことにつながっていたのです。

しかし、親の過保護や過干渉によって、子供が家以外でも甘えたり、構ってもらえることを「当たり前」と思ってしまっているのです。

先生に「甘えたい」「構ってもらいたい」という欲求を満たすため、あえて先生から注意を受ける行動をします。先生から注意を受けた生徒を見ていたほかの生徒たちは、「先生に注意されることをすれば構ってもらえるんだ」と勘違いします。それが結果的に学級崩壊につながっていきます。

学校に対して自己中心的かつ理不尽な要求をする親を意味する「モンスターペアレント」も、子供への過保護や過干渉からクレーマーに変貌してしまうのです。中国では「1人っ子政策」によって両親、双方の祖父母6人からたっぷりと愛情を受けて過保護・過干渉に育てられることがあります。大人たちの過度な愛情が子供の問題行動につながっているのかもしれません。

また、子供との会話量や読み聞かせ機会の不足によっても、子供の問題行動につながる可能性があります。子供は親との会話や読み聞かせをとおして、語彙力を増やします。語彙力が少ないと、自分の気持ちをうまく口で説明できず、相手を叩いたり、蹴ったり暴力に走ってしまう可能性もあるのです。

統率力を持っていない先生

一方、先生側の問題点として「世間を知らない」ということが挙げられます。大学まで学校で勉強し、教員免許を取得して、そのまま採用された場合、民間企業での社会人経験なく学校に勤めることになります。

企業経験がなく、統率経験もほとんどないまま、30人近い学級を持てば、学級崩壊させる可能性は大いにあり得るでしょう。統率者として必要な能力とはどのようなものでしょうか。次の4点が挙げられます。

先生の言うことが揺らいで徹底させられない

指示系統が不安定になれば集団は崩壊します。例えば、空港の管制塔の指示が揺らいだものであれば、飛行機の発着陸に危険と混乱をもたらし、大惨事を招きかねません。空港であれば利用客はいなくなります。しかし、学級の場合、子供たちに逃げ場がありません。我慢が限界を超えれば、学級崩壊につながりかねません。

子供によって指導態度が変わる

やんちゃな生徒に対して、怯んでしまう先生もいます。そういった怯みにつけ込んだり、不公平に憤ったりする生徒が学級崩壊を招きかねません。

叱れない

必要な場面で叱ることができなければ、子供を制御できず、好き勝手に行動させてしまいます。「先生に怒られるからやめよう」と子供に踏みとどまらせることができるかが重要になります。

授業がつまらない

子供を成長させるために授業を行うのが先生の本来の目的です。学校生活の8割以上を占める授業が面白くなければ、生徒は飽きて問題行動へと走るかもしれません。

これら4点の統率者としての能力は、手本を見せてくれる上司の存在や、実際に指導を受ける中で成長するものです。しかし、新卒でいきなり統率者を任される先生にその能力を最初から期待することは難しいのかもしれません。