ビジネスマンのみならず、学校生活や遊びのなかで時折子供に必要とされるスキルの1つが、リーダーシップです。最近では、従来のリーダーシップとは異なる概念である「サーバントリーダーシップ」が注目を浴びているようです。今回は、現代の子供が身につけるべきサーバントリーダーシップについて解説します。
もくじ
サーバントリーダーシップとは
「サーバントリーダーシップ」という言葉をご存知でしょうか。サーバント(英:servant)は「召使い・使用人」などという意味。言葉としては、「リーダーシップ」と対極にあるような印象を受けます。
「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というのが、サーバントリーダーシップの哲学です。これはロバート・グリーンリーフという人物によって提唱されました。グリーンリーフはアメリカの通信大手AT&Tでマネジメントや従業員の教育を手がけました。その経験をもとに、退職後は大学で教える傍ら、教育コンサルタントとして活躍した人物です。
参考
「サーバントリーダーシップとは?」NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会
10の特性
サーバントリーダーシップには、「10の特性」と呼ばれる特徴があります。
- 傾聴
相手が望んでいることを聞き出すために、まずは話をしっかり聞き、どうすれば役に立てるかを考える。また自分の内なる声に対しても耳を傾ける
- 共感
相手の立場に立って相手の気持ちを理解する。人は不完全であることを前提に立ち相手をどんな時も受け入れる。
- 癒し
相手の心を無傷の状態にして、本来の力を取り戻させる。
組織や集団においては、欠けている力を補い合えるようにする。
- 気づき
鋭敏な知覚により、物事のありのままに見る。自分に対しても相手に対しても気づきを得ることが出来る。相手に気づきを与えることができる。
- 納得
相手とコンセンサスを得ながら納得を促すことができる。
権限に依らず、服従を強要しない。
- 概念化
大きな夢やビジョナリーなコンセプトを持ち、それを相手に伝えることができる。
- 先見力
現在の出来事を過去の出来事と照らし合わせ、そこから直感的に将来の出来事を予想できる。
- 執事役
自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることに喜びを感じる。一歩引くことを心得ている。
- 人々の成長への関与
仲間の成長を促すことに深くコミットしている。一人ひとりが秘めている力や価値に気づいている。
- コミュニティづくり
愛情と癒しで満ちていて、人々が大きく成長できるコミュニティを創り出す。
(引用元:「サーバントリーダーシップの10の特性」NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会)
コミュニケーションを重視し、話に耳を傾ける「傾聴」のスタイルがサーバントリーダーシップでは特に重視されます。これは部下などの周囲の人たちに対してのみ行われるのではありません。自分自身の考えや感情と向き合うことも含まれます。論理的な判断だけではなく、そのときどきの感情への共感や理解が必要になります。
参考
「第15回:サーバントこそ、強いリーダーシップを発揮できる」NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会
支配型リーダーシップとの違い
サーバントリーダーシップと対極にあるのが、「支配型リーダーシップ」です。支配型のリーダーは部下に対する一方的な命令とヒエラルキーによって管理をします。そのため、部下は
- リーダーの機嫌を伺いながら行動する
- 命令されたことを言われた通りにしか実行しない
- 「怒られるかもしれない」という恐怖感から行動する
などの消極的な行動をとりがちです。リーダーとの間に信頼関係も芽生えないため、チーム内のメンバーはそれぞれ自己中心的な姿勢・動機でしか行動しません。
一方サーバントリーダーシップでは感情や共感、コミュニティづくりを重視します。信頼関係が育ち、チーム内でお互いのために役に立とうという姿勢が生まれやすくなります。リーダーが率先して「サーバント」になることで、チーム内がみな奉仕する姿勢に変化していきます。
参考
「サーバントリーダーシップとは?」NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会