過保護と過干渉の違いって?
「過保護」と混同されるケースが多い「過干渉」。実はこの2つの言葉には大きな違いがあります。
過干渉の意味
過干渉とは、「保護者が我が子を一人の主体的な人間として認めず、その子供の意思や思考、自我の発達や自主性などを否定して、操り人形のごとく親の意のままにコントロールしようとすること」です。ポイントは、親が子供の人格や主体性を否定する、というところにあります。
過保護と過干渉の違い
過保護は、子供が望むことを親がやってあげすぎたり子供が一人でできることでさえもあれこれと手出ししてしまったりすることである一方、過干渉は子供がやりたくないことを無理にやらせたり子供の行動を本人の意に反してコントロールしてしまうことを指します。過干渉の場合、子供は主体性を否定された結果、親に対して委縮してしまうなどの弊害を生みます。
過干渉についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので是非参考にしてください。
過保護な環境で育つと子供にどんな影響がある?
周囲の人から見ると過保護だと言われることもあるでしょう。仮に自分が子供に対して「過保護」にしているとすれば、気になるのは子供への影響です。過保護な環境下で育てられた子供には、どのような影響が出てしまうのでしょうか。
物事を深く考えようとしなくなる
獨協医科大学の永井伸一名誉教授は、過保護な子供に起こる影響についてインタビューを受けています。永井名誉教授が関わった生徒の中で成績が悪かった子供たちの中には、親が過保護だと思われる生徒たちが一定数いました。過保護な親に育てられた子供たちには、以下のような共通点があったと述べています。
そういう親の子供は、自分から動かなければいけないという意識に欠け、自主性を失ってしまいます。また、学習方法が安直で、物事を深く考えることができません。知識はあるけれど、感性が貧弱で、興味があることを追求していく力が弱いんです。
(引用元:「子供をダメにする」親の研究〜3000人の聞き取り調査で分かった!|週刊現代)
親に過保護な教育を受けた結果、子供の自主性が低下してしまう可能性があります。勉強面でも深く探求していく姿勢をとることができず、物事を深く考えることが苦手になってしまうのです。
物事を深く考える力を身につけるための方法はこちらの記事で詳しく紹介しています。
うつや引きこもりを引き起こすこともある
また親の過保護によって引き起こる影響について、NPO法人コヂカラ・ニッポンの川島高之代表理事は以下のように述べています。
親の過保護・過干渉が、子どもを鬱(うつ)、ひきこもり、依存症、摂食障害などにしてしまうというデータもあります。また、成長するに従い子どもは「健全な反抗」を示し、「自治領域」を広げようとし、そのことで脳や精神が自動的に成長していくわけですが、親が過干渉・過保護になってしまうと、子どもは親に反抗できなくなり、自治領域を拡大できず脳を自分で成長させる機会を失ってしまいます。
(引用元:過干渉・過保護な親にならないために大切にすべきこと-子どもの自立のために「見張る」ではなく「見守る」|ひみつ基地)
親が過保護な対応をすることで、子供の気持ちを聞く機会を減らしてしまう可能性があります。それは脳の成長へ影を与えることもあり、子供は意思表示が苦手になってしまうかもしれないのです。伝えきれない気持ちを抱え込んだ結果、うつや引きこもり、そのほかさまざまな体への影響を引き起こしてしまう可能性があります。