理想的なリーダーとは?子どものリーダーシップの育て方 - cocoiro(ココイロ) - Page 2

理想的なリーダーとは?

理想的なリーダーとはどんな人でしょうか。リーダーシップの研究者だった三隅二不二氏は、リーダーシップの行動特性に注目した「PM理論」を提唱しました。PM理論では、組織が発展するために求められる機能は2つあります。

1つは目標達成機能(P機能)で、組織が決めた目的の達成とそれに関連する課題を解決していく機能です。例えば学校の中では、クラブ活動や、委員会活動でのプロセスをイメージすることができます。

もう1つは、集団維持機能(M機能)で、文字通り組織を維持していくための機能です。実際には、メンバーをフォローしたり、メンバー間の葛藤を緩和したりすることで、チームワークを強化していきます。

組織を維持するには、P機能とM機能が必要であり、それらを発揮するのがリーダーの行動ということになります。つまり、PM理論によれば「リーダーシップを発揮するとは、P(目標達成)行動とM(集団維持)行動の両方を満たすこと」なのです。

PM理論では、このP行動とM行動から、リーダーシップの行動特性を4つに分類しています。

1. PM型 P、Mの機能がともに強い「理想的なリーダーシップスタイル」
2. P型 Pの機能は強い、Mの機能は弱い「フォロワーへの指示や命令に偏る」
3. M型 Pの機能は弱い、Mの機能は強い「フォロワーへの気遣いに重点を置く」
4. pm型 P・Mの機能がともに弱い「放任主義型のスタイル」

「PM型」は、リーダーシップを発揮するのに最も望ましいタイプです。フォロワーの満足度が高く、組織の成果を上げる力も高い理想的なスタイルと言えます。

目標達成に向けたP行動としては、メンバーに的確な指示や具体的なアドバイスができ、フィードバックもきちんと行います。メンバーに意識を高く持ってもらうために、目指すべき方向性を共有し、目標を行動ベースで分かりやすく指示できるタイプです。

フォロワーとの関係性であるM行動としては、フォロワーの話によく耳を傾け、相談にも親身に乗ります。フォロワーの気持ちを気遣い、絆を強めていくことでチームワークが強化され、困難にも立ち向かっていくことができます。

「P型」は、成果を上げるための指示や命令が中心のリーダーシップスタイルです。組織の人間関係に配慮しないため、フォロワーは、常にリーダーからプレッシャーをかけられる状況に置かれます。短期的には成果が出るかもしれませんが、長期的にはモチベーションやパフォーマンスの低下につながるでしょう。

「M型」は、フォロワーの気遣いに重点を置くリーダーシップスタイルです。フォロワーとの人間関係は良好に保たれますが、チームで方向性の転換が迫られたり、困難に陥ったりしたときなどは対処が難しくなるかもしれません。綿密な計画を立てて、チームを引っ張っていかなければならないときは、M型のリーダーシップだけでは不十分です。

最後の「pm型」は、放任主義型のリーダーシップです。組織の目標設定が弱く、人間関係の調整も不十分なため、フォロワーのモチベーションが低く組織としての成果も上がりません。

PM理論をみると、理想的なリーダーシップは、PM型以外は不十分ということが分かります。優れたリーダーは、P行動とM行動の両方を兼ね備え、それをうまく実践できる人と言えます。

例えば、クラスで物事を決めなければいけないときは、目標達成のためにP行動を積極的にとり、メンバー間で揉め事が起きた場合は、M行動として、解決に向けた働きかけを行うことができるリーダーが理想的です。