リフレクションと反省との違いは?
「リフレクション」と同じニュアンスの「反省」にはどんな違いがあるのでしょうか?
「リフレクション」は自ら率先して行う
「リフレクション」と反省には3つの違いがあると考えられます。「リフレクション」は反省と違い、自ら率先して行うものであるということ。反省は、仕事でミスをして上司に注意されたとき、ダメと言われていることをして母親に叱られたとき、「反省しなさい」と言われてする傾向にあります。そのため、反省は半ば義務的なニュアンスも含まれているのです。
未来をより良くするためのポジティブな思考
「リフレクション」は、ベクトルが未来に向いている点。反省は「ミス・過ち・できなかったこと」にフォーカスしがちですが、「リフレクション」の場合は今後良くするための改善方法に矢印が向いているのです。
客観的な立場から自分の行動・発言・仕事への姿勢を振り返る
「リフレクション」は客観的な視点から自分の行動・発言・振る舞い・仕事との向き合い方を振り返るというところ。第三者目線で「ほかの人ならどうするのか?」「類似のものと比較してどうなのか?」と客観視することで、多角的な視点で物事を捉えることができるのです。
リフレクションは親や教育者に必要な教育メソッド
「リフレクション」は、子供自身はもちろんのこと、一緒に生活する両親や学校で関わる機会の多い先生にこそ必要な教育メソッドと言えるでしょう。
中央教育審議会が発表している「『学び続ける教員像』確立のために求められるリフレクションに関する研究(1)」によれば、教員としての重要なスキルに「リフレクション」を取り上げています。子供の教育現場において、授業で学んだこと、担任の先生から聞いた話、実際に体験したことを、今後の学びにどう生かすのか、というPDCAサイクルの回転率の高さは非常に重要です。
そもそもPDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返し行うことによって、物事の生産性を高めていく手法のことをさします。
このPDCAサイクルを、子供がうまく回せるようになるためには、学校での「リフレクション」を実践的に取り入れることが極めて重要なのです。
事実、「『学び続ける教員像』確立のために求められるリフレクションに関する研究(1)」でも、教育者がPDCAのサイクルに基づいた、超実践的な授業を行う教師こそが教育者として目指すべき姿だと述べています。しかし、リソース不足や「リフレクション」を実践するための学校側の体制が整っていないことも指摘しました。
① PDCAサイクルの中でも、C → A → P → Dの時間の確保と質的な保障がないこと、②授業省察から再デザインの過程が 各教員に委ねられ、他者の視点が入りにくいこと、③授業省察から再デザインの過程に対して、自らの授業実践力の向上を自覚化するものになっていないことなどの学校現場が現実的に抱える問題も、無視することはできない。
問題は、授業経験が豊富な教員ほど授業展開から授業省察そして再デザインの過程は、個々の教員の経験の中に埋め込められており、時間が無いが故になかなか可視化されないということである。
この可視化されていない部分の掘り起こしをいかに行い、それをどのようにして実行性の あるものにするかは、教員自らの課題を明確化にするためにも、また、教員が自らの授業実践力の熟達化を進めていくためにも重要である。
さらにこのプロセスの可視化は、初任者や経験の浅い若手教員と いった教職生活のスタート近辺に存在する「未熟練者」にとっても、大きな資源になりうると考えられる。
(引用元:『学び続ける教員像』確立のために求められるリフレクションに関する研究(1)|中央教育審議会)