反転授業のデメリットとこれからの課題
従来式の学習方法に慣れている親からは以下のような声も上がっています。
- 目新しいので興味を持って取り組んでいるが、慣れてきたらどうなるか心配
- 事前の学習時間の確保(学校外における自習時間の確保)
- 学校側の十分な質と量のオープン教材の準備
反転授業にこのような課題があるのは事実でしょう。
従来の知識伝達型をそのまま動画にするというのであれば、説明が上手な教師が動画で行えばそれですみます。しかし、これからの時代を生きる生徒は、ただ知識があれば良いというのではありません。例えば、論理的・批判的・創造的に思考し、発表できる能力を育む必要があります。
自主性に任せるという特徴ゆえに、生徒だけではなく教える側の能力で個人差が付きやすいという側面があります。
積極性の乏しい生徒にはかえって逆効果に
人材を育てるという観点から人との関わりを持つ機会を増やしたりする協働学習を取り入れた場合、積極性の乏しい生徒にはかえって逆効果になるのではないか、という不安が親の中にはあるでしょう。
学習者主体の授業は、生徒の声を先生やほかの生徒が聴くことから始まります。友達の話を価値のあるものと肯定することで発言しやすい環境を作ります。
つまり、反転授業で大人がしなくてはならないことは、子供たちが深く考える時間や仲間の考えにふれる機会を作ることです。単に、その場限りの話し合いをさせることではありません。
また、お互いの考えの違いが授業の中で生かされることが必要です。また、学習者主体と言うと先生が教えたり語ったりしてはいけないという誤解もあるようですが、反転授業において自発性と主体性は異なるものです。
仲間の話や楽しい教材、教師の説明によって、生徒にとって考え続けたいという気持ちを生み出すことによって子供たちは主体性を持つようになります。
教師によって授業展開方法が異なる
教師には、協同学習を促すファシリテーターとしての力量が問われます。決して知識伝達量を減らすことを求められているわけではなく、対面授業をアクティブ・ラーニング化した授業にすることが好ましいでしょう。
反転授業は、先生が授業における課題をどのような目的でどのように導入するのかといった授業設計によって大きく異なってきます。言い換えると質の高い発展的な課題をいかに提示できるかは教師の力量にかかっています。