今、日本の教育現場では、子供の勉強への興味や関心をより高め、1人1人の主体性や個性を引き出す授業への転換が求められています。従来のテストや点数偏重型ではなく、多様な生き方を育む人間形成的授業が必要とされてきています。そこで注目されているのが、反転授業です。
子供の能動的な学習姿勢を培う上で今後さらに注目されていくであろう反転授業。導入によるメリットやデメリット、親として何ができるかに焦点を当てて詳しく解説していきます。
もくじ
新しいスタイル「反転授業」とは
反転授業は子供の能動的な学習姿勢を培っていく上で画期的、かつ実用的な授業です。教師主導の一斉指導ではなく、「主役は学習者である子供」というのがその主要なコンセプト。まずはこちらを前提として理解した上で、反転授業についての本質に迫りましょう。
本来は学校で受ける授業の内容を自宅で動画を見て予習し、学校では応用課題に取り組んだり共同学習に時間を割くというのが反転授業の特徴です。これによって、課題に対して深い理解と効率性を高めた学習が可能となり、学校では、自宅でできないコミュニケーションを必要とする勉強をしたり、プレゼンテーション力や協調性を育んだりすることができます。
自宅で動画を見て学習をすると聞くと、有名大学の講義などをオンライン上で無料で視聴することができる、MOOC(大規模公開オンライン講義)のようなスタイルを思い浮かべるかもしれませんが、反転授業はMOOCともまた、違います。MOOCでは、学んだ知識を活用する場が提供されていない一方で、反転授業は動画授業に加えて学校という実践の場が提供されてあり、学んだ知識を活用する場が用意されているところに大きな特徴があります。
学校では自宅学習を前提においた応用課題となるため、自主的に予習を行う必要がでてきます。そのため、主体的に課題に取り組む意欲を持ちやすく、従来の消極的な勉強姿勢をあらためることができます。そして、生徒の学習習慣の定着、学力の底上げ、理解度の改善にも役立ちます。
昔と違う勉強法の反転授業
「勉強=学校での学習」の親世代の勉強法と言えば、学校で先生の話を聞き、家では復習や次の授業の予習をするといったサイクルでした。授業ごとに特定の先生の一方通行的な説明を聞き、先生の授業のやり方に合わせていくというのが一般的でしたが、これでは学習者が主体となっていません。
親世代にとっては、先生が課題を与え、生徒たちがその根拠となる資料を探してくるという授業形式が一般的だったでしょう。すでに答えありきで資料探しをしているため、自主性を育むという教育の理想という観点からはほど遠いものでした。その結果、いわゆる受け身で何かを指示されないと行動できない、という消極的な姿勢を生むことにつながりました。
そこで、今の親世代には、自分が子供の時に受けてきた授業スタイルにとらわれず、現代のニーズに合致した反転授業への理解が必要とされているのです。
なぜ今、反転授業が注目されているのか?
学習者主体の授業への転換は、なぜ今導入されるのでしょうか。日本の教育は詰め込み型教育からゆとり教育へと変化してきましたが、根本的な授業スタイルはそこまで変化していません。そのような中で、OECD(経済協力開発機構)の学習到達度調査(PISA)で日本の子どもたちの学力が落ちたとされる問題、いわゆる「PISAショック」が起こりました。それをきっかけに、授業は活用力の育成が求められる様になったのです。
しかし、反転授業は導入して間もないため、親としてはネットで調べたり情報誌で調べても情報が少なく、良いのか悪いのかわからないという意見があるのも事実です。具体的には以下のような疑問が挙げられるでしょう。
- 反転授業で主体性や協調性がどの程度身につくのか知りたい
- 家庭の学習状況による差で我が子が置いてきぼりにならないか気になる
- みんなと同じ動画講義を受けて映像をみてもレベルが我が子に合っているのか心配
- 家族のサポートがどれだけ必要か知りたい
- 反転授業による学力向上は実際に見込めるのか知りたい
こういった疑問や不安、心配を解消すれば子供を反転授業に参加させたいと思えるかもしれません。具体的にどのようなメリットやデメリット、課題があるのかを知るところから始めましょう。