大人になったときの反動は?
子供時代に反抗期がないと、「大人になったときに反動が来ないだろうか……」と心配になる方も多いでしょう。
明治安田生活福祉研究所が2016年に行った「親子の関係についての意識と実態に関する調査」によると、親世代よりも子供世代の方が、「自分には反抗期がなかった」と思う人が多いことがわかっています。
自分には反抗期がなかったと思う人の割合
男性 | 女性 | |
---|---|---|
子供世代 | 42.6% | 35.6% |
親世代 | 28.1% | 26.4% |
これからさらに増えていく「反抗期のなかった大人」。子供時代に反抗期がないことが、大人になったときにどのように影響するかについて解説します。
反抗期がないことは問題?
子供が自らの感情を押し殺し反抗を我慢することについて、NPO法人ハートフルコミュニケーションの菅原裕子さんは次のように指摘します。
反抗することで親から自立し、自分の価値観を作り上げていくときに、その反抗を許されないとしたら、子どもは自分を曲げて生きるしかありません。 子どもは若くして無気力に陥ります。そしてその反動で、大人になって親から離れたときに、問題行動が起こる可能性はあるでしょう。
(引用元:反抗期がない|NPO法人ハートフルコミュニケーション)
本来なら自我が芽生え主張するはずのタイミングで、自我を抑え込み、我慢して自分を曲げる。これでは自分の気持ちが分からなくなり、大きくなってから親以外の人に反抗的な態度をとることもあるのです。
反抗期は親が苦労することが多いですが、反抗期がなければ子供が苦労するようになります。
自分の意見が伝えられない人もいる
一方で自分の意見を伝えられないことで、苦しい思いをしている人もいるでしょう。自己主張をしないことでうまく人生を切り抜けてきたと感じ、意見を伝えないことが最善である、と考えているかもしれません。
周りに合わせることには慣れていくかもしれませんが、社会人になれば自分の意見を問われる場面も増えていきます。「○○さんはどう思う?」と問われた際に自分の意見を伝えられないことは、本人にとってももどかしく、周囲から見ても煮え切らず、双方が歯がゆい思いをしてしまう可能性があります。
社会的に成功している人もいる
シカゴ大学の調査では、反抗期がなかった大人の方が社会的な成功度が高く、かつ犯罪を犯してしまう確率も低いという結果が公表されています。社会的成功の基準は人によって異なりますが、周囲から見て成功していると認められるような人に育っているということができるでしょう。
たとえば社会的成功を会社での昇進、ということだと考えてみましょう。企画を立案する際に他のメンバーや上司に反対され、説得をしなければならないことになったとします。その際に真っ向から対立姿勢をとってしまっては、聞く耳を持ってもらえないかもしれません。
反抗期がなかった人は強い自己主張を避けることで、周囲との協調性を重んじることができる可能性があります。自分の意見を押し通さないことで、周囲との調和をうまく取りまとめることができるでしょう。すると自分の意見と他のメンバーの意見との折衷案を作成し、企画を成功へと導き、昇進に一歩近づけるかもしれません。