知能が高ければ、学校の勉強に有利なだけでなく、社会に出てからも苦労は少ないでしょう。子供の知能を鍛えるために、親がしてあげられることは何でしょうか? 知能には、結晶性知能と流動性知能があり、結晶性知能の方が鍛えやすい知能です。この記事では、結晶性知能とは何か、結晶性知能の鍛え方について解説します。
もくじ
結晶性知能と流動性知能の違い
知能とは、新しい環境や困難な状況に置かれたときに、適切で有効な方法で適応したり解決したりする能力を指します。知能には、結晶性知能と流動性知能という2つの異なる性質の知能があります。
年齢とともに蓄積される結晶性知能
結晶性知能とは、経験を重ねることにより蓄積される知能を指します。例えば、語彙力、理解力、洞察力、内省力、自制力などが含まれます。結晶性知能は、60歳くらいまで年齢とともに上昇し、それ以降もほとんど低下しないことが分かっています。
20代でピークを迎える流動性知能
一方、流動性知能とは、新しい環境に適応するために、情報を収集・処理・操作していく知能を指します。例えば、直観力、法則を発見する能力、図形処理能力、暗記力、集中力、処理のスピードなどが含まれます。流動性知能はワーキングメモリーとも呼ばれますが、脳の作業机のようなものだと考えると理解しやすいでしょう。作業机が大きければ大きいほど、たくさんの資料を広げられるため、正確に速く処理することができます。そのため、流動性知能が高いと「頭の回転が速い」と評価されます。
流動性知能は20代でピークを迎え、その後徐々に低下し、40代を過ぎるとガクンと衰えます。そのため、年を取ると「物覚えが悪くなった」「人の名前が出てこない」「反応が鈍くなった」と感じやすくなります。
結晶性知能を鍛えることで流動性知能を維持
結晶性知能は、年齢とともに経験が増えるため、ある程度は自然に蓄積されていきます。それに対し、流動性知能は生まれながらの個性によるところが大きいのが特徴です。しかし、結晶性知能と流動性知能は補完し合っているため、結晶性知能を高めることにより、流動性知能を刺激し、パフォーマンスを上げることができます。
例えば、単純な計算問題のスピードでは、流動性知能の高い人が圧倒的に有利です。しかし、複雑な問題の解決能力は、結晶性知能の高い人の方が優れているでしょう。なぜなら、経験や知恵の蓄積の多い人の方が、多くの情報をもとに客観的な判断ができるためです。
つまり、日常生活のさまざまな問題解決のためには、ワーキングメモリーの性能と蓄積した情報量の両方が必要で、双方が補完し合い、刺激し合っています。そのため、結晶性知能が豊富で、常に流動性知能をフル回転させていれば、流動性知能を維持・向上させることができます。