社会人基礎力という言葉が話題になっていることをご存知でしょうか? 名前の通り、社会に出る際の基礎になる能力であるとされています。言葉を聞いたことがあっても、実際にどのような能力を社会人基礎力と呼ぶかは知らない、という人もいるでしょう。当記事では社会人基礎力とはどんな能力なのか、どうして社会人基礎力が求められているのかなどについてご紹介します。
もくじ
社会人基礎力とはどんな能力のこと?
社会人基礎力とはどのような能力のことを指すのでしょうか。言葉の定義については、経済産業省がホームページで公表しています。
定義した内容は以下のようになっています。
社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、経済産業省が2006年に提唱しました。
(引用元:社会人基礎力|経済産業省)
社会人基礎力とは、職場や地域社会などのあらゆる社会で働くために必要な基本的な能力であるとされています。その能力は3種類に分類され、それぞれの能力を構成する能力要素が定義されています。能力と能力要素について、1つずつご紹介していきます。
(1)前に踏み出す力と3つの要素
社会人基礎力の1つ目は、前に踏み出す力とされています。経済産業省によると、前に踏み出す力は3つの能力要素から構成されているとされています。
3つの能力要素は以下のように定義されています。
【主体性】:変化に前向きに対処する力、範囲を限定せずに主体的に動く力
【働きかけ力】:協業力、ネットワーキング行動、多様な人たちとの繋がり、パートナー力、相手との壁を越えて多様性を活かす対話力、人間関係資本、関係構築能力、異文化集団に飛び込み(混沌、未知、異文化を受け入れ)信頼を勝ち得る(周囲を巻き込む)力
【実行力】:詰める力、やり切る力、組織に隷属せず高い志を持ちピンで立てる力、チャレンジする力
(引用元:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省)
前に踏み出す力というのは、単なる積極性を示すものではありません。周りの人々を巻き込んで仕事を進めるリーダーシップや信頼関係の構築能力、投げ出さずにやり切る責任感などを含めた能力のことを指しているのです。
(2)考え抜く力と3つの要素
社会人基礎力の2つ目は、考え抜く力とされています。経済産業省によると、考え抜く力は3つの能力要素から構成されているとされています。
3つの能力要素は以下のように定義されています。
【課題発見力】:考え抜く力、問題発見能力、システムとして物事を考える力、ソーシャルとビジネスを融合する力、見えないものが見える力
【計画力】:高い倫理観を持ち正しい選択をする力、詰める力、金融的投資能力、未来を予想する力
【想像力】:抽象思考力、価値判断力
(引用元:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省)
考え抜く力と言っても、ただ単に物事を考える力を指すのではありません。仕事として利益を出すために障害となっているものを発見する力、限られた資産の中で成果を出すための最善策を考える力、また目先のことだけではなく未来を見据えて物事を捉えられる力などを指しています。
(3)チームで働く力と6つの要素
社会人基礎力の3つ目は、チームで働く力とされています。経済産業省によると、チームで働く力は6つの能力要素から構成されているとされています。
6つの能力要素は以下のように定義されています。
【発信力、傾聴力】:協業力、ネットワーキング行動、多様な人たちとの繋がり、パートナー力、相手との壁を越えて多様性を活かす対話力、人間関係資本、関係構築能力、異文化集団に飛び込み(混沌、未知、異文化を受け入れ)信頼を勝ち得る(周囲を巻き込む)力
【柔軟性】:変化に前向きに対処する力
【状況把握力】:感情を学ぶ、EQ(Emotional Intelligence Quotient)、情緒的資本
【規律性】:シチズンシップ、高い倫理観を持ち正しい選択をする力
【ストレスコントロール力】:Work As Life
(引用元:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省)
仕事をしていく上では、チームで働くことは避けては通れません。その中で求められている力は多様で、ただ協調性を持って仲良く取り組めるだけの力が求められているわけではありません。
また、それぞれの能力の構成要素が独立しているわけではありません。効果的な協業のためには、どうすれば利益が上がるかを考え抜き、チームの士気を高め、課題を乗り越えながら前へ踏み出していかなければなりません。能力の要素を磨くことで、3つの社会人基礎力をバランス良く鍛えることができるでしょう。