突出してお金がかかる専門分野はある?
「平均だけでは何とも言えないな」という人は、参考リンクにある公益社団法人東京都専修学校各種学校協会の調査資料を実際に見てみてください。学校の専門性ごとに分野を細かく分けて平均が算出されています。こちらを見るとより具体的な相場観が分かるでしょう。
特に初年度納入金が割高なのは「はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧」の専門学校です。
単位:万円 | 入学金 | 授業料 | 実習費 | 設備費 | その他 | 合計 | 最高額 | 最低額 |
昼 | 37.6 | 106.1 | 5.1 | 14.9 | 1.1 | 164.7 | 257.0 | 96.0 |
夜 | 44.5 | 109.0 | 3.3 | 20.0 | 2.4 | 179.2 | 257.0 | 110.0 |
(調査2 平成30年度 学生・生徒納付金調査|公益社団法人東京都専修学校各種学校協会より筆者作成)
授業料が高額であるため合計額が上がっていることが分かります。このほか、歯科や看護など鍼灸と同様に国家資格に関わる医療系専門学校の納入金は比較的高額になっています。
参考
調査2 平成30年度 学生・生徒納付金調査|公益社団法人東京都専修学校各種学校協会
学費だけじゃない!専門学校の出費
前項のデータを見て、学費以外にもさまざまな費用がかかることが分かりました。具体的にどのような細目になっているのか、具体例を見てみましょう。
教材費・材料費
1年生 | 2年生 | |
入学金 | 100,000円 | - |
授業料 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
実習費 | 520,000円 | 520,000円 |
諸費用 | 375,000円 ※1※2 | 200,000円 ※1※2 |
合計 | 1,995,000円 | 1,720,000円 |
(学費・各種制度(2020年度)|新東京歯科技工士学校より筆者作成)
諸費用には、教科書・教材費、実習材料費、ユニフォーム、学友費などすべての金額が入ってます。
※1:昨年度費用から算出した概算額です。年度により変更があります。
※2:2020年度の教材費・教科書代の詳細については2020年2月下旬のご案内になります。
海外研修を希望する方は、上記の費用以外に別途海外研修費が必要です。(2018年実績:技工 40.7万円 / 衛生 36.7万円)
(引用元:学費・各種制度(2020年度)|新東京歯科技工士学校)
比較的学費が高額な歯科技工士の専門学校では、実習費と諸費用で895,000円と、授業料の9割近くの費用が必要です。
このように、教材代は授業料に含まれないというのが専門学校では一般的なようです。技術職は手を動かして学びますので、専門的なスキルを身につけたければそれなりに費用がかかることを覚悟しておく必要があるでしょう。
特別実習費など
また、基本の授業以外に希望者のみの特別実習を行う学校もあります。実際に現場で活躍しているプロから学べる機会も多く、技術の習得だけでなくコネクションづくりの機会として参加するという学生もいるようです。
これらには追加の費用がかかることも多く、費用はその年によって異なることもあります。こういった特別プログラムにどのくらい参加したいかも事前に検討しておきましょう。
参考
奨学金はある?
ここまで読んで、「思ったよりも学費がかかりそうで不安」と思う人もいるかもしれません。専門学校は短い期間で学ぶので、子供がアルバイトをしながら学費を賄うのも難しいことがあります。ぜひ奨学金の利用も検討してください。
日本学生支援機構の奨学金
貸与型奨学金の代表格である日本学生支援機構でも奨学金を受給することができます。利子の付かない第一種の条件は以下のどちらかにあてはまることです。
(1) 高等学校または専修学校高等課程最終2か年の成績の平均が3.2以上であること。
ただし、上記の基準を満たさない場合であっても、家計支持者(父母。父母がいない場合は代わって家計を支えている人)の住民税が非課税(市区町村民税所得割額が0円)である者、生活保護受給世帯である者又は社会的養護を必要とする者(児童養護施設入所者、里親による養育を受けている者等)であって、次のアまたはイのいずれかに該当する者は、第一種奨学金又は併用貸与の学力基準を満たす者として取り扱うことができます(※5)(※6)(※7)(※8)。
ア.特定の分野において、特に優れた資質能力を有し、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。
イ.学修に意欲があり、特に優れた学習成績を修める見込みがあること。
(2) 高等学校卒業程度認定試験合格者であること。
(引用元:専修学校(専門課程)での申込資格・申込基準|JASSO)
利子のある第二種を申請することも可能です。ただし、奨学金をもらえる学校・学科は日本学生支援機構によって指定されています。進学を希望する学校が対象になっているかは、事前に確認しておきましょう。
参考
都道府県などの奨学金
また、自治体が奨学金を持っていることもあります。例えば茨城県の場合、入学一時金として24万円の貸与が受けられます。
出願資格 | 茨城県内に居住する方の子弟であって、令和2年度に大学、短期大学又は専修学校の専門課程への進学を目指している方で、経済的理由によって修学が困難な方(学力基準、家計基準等の要件があります。) |
貸与額 | 24万円 |
貸付利率 | 無利息 |
貸与期間 | 進学する学校に入学する年(1回) |
返還 | 貸与終了(卒業等)後、10年以内に半年賦又は年賦により返還(無利息) |
返還の免除 | 大学等を卒業後、茨城県内に居住し、茨城県内で就職したときは、返還を免除
免除額 1年当たり24,000円(1年毎に手続きを行い、10年で全額免除) |
(茨城県奨学資金|茨城県教育委員会より筆者作成)
自治体の奨学金の場合、貸与型であっても地元で就職することで返還が免除されるといった特約があります。専門学校に進学したのち地元で就職を希望している人にとってはちょうど良い制度といえるでしょう。