【給与の基礎知識②】年収から手取りを計算するには?
給与から控除されるお金の内訳
控除されるお金の内訳は、次のようなものです。
- 健康保険料
健康保険に加入するためのお金。職場で加入する健康保険と自営業の人などが加入する国民健康保険があり、会社員は全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合などの運営する健康保険に加入する。
- 介護保険料
介護保険制度の財源となるお金。40歳以上64歳以下の人が健康保険料とともに納める。
- 厚生年金保険料
厚生年金に加入するためのお金。公的年金には国民年金保険と厚生年金保険があり、会社員は通常厚生年金保険に加入する。
- 雇用保険料
雇用保険に加入するためのお金。雇用保険への加入で、失業給付金や育児休業給付金、介護休業給付金などが受け取れる。
- 所得税
所得に対して課される税金。所得が多いほど課税額が大きくなる。
- 住民税
1月1日時点で住んでいる都道府県、市区町村に支払う税金。前年度の課税所得に応じて金額が決まる。
参考
社会保険料や税の計算方法
社会保険料や税金の額は、次のように計算されます。
健康保険料
健康保険料は、会社と本人が折半して負担します。本人負担分は、次のように計算します。
(健康保険料)=(標準報酬月額)×(保険料率)× 1/2 |
標準報酬月額とは計算の基準となる月給の目安額のことで、一定の条件に合致する月の給与の平均額を使います。保険料率は健康保険の運営者や都道府県によって異なりますが、だいたい10%前後です。
参考
厚生年金保険料
厚生年金保険料も、会社と本人の折半です。毎月の給与のほか、賞与についても納付することになっています。本人負担分は、次のように計算します。
(給与にかかる保険料)=(標準報酬月額)×(保険料率 18.3%)× 1/2
(賞与にかかる保険料)=(標準賞与額)×(保険料率 18.3%)× 1/2 |
標準報酬月額は健康保険料の場合と同様、標準賞与額は実際に支払われた賞与額(税引前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額を使います。厚生年金の保険料率は段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に固定されました。
参考
雇用保険
会社などに雇用されて働き、次の条件の両方に当てはまる人は、原則としてすべて雇用保険に加入することになります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
雇用保険のうち本人負担があるのは、失業給付などに関わる部分のみで、建設事業などを除く一般の事業の場合、本人負担分の保険料率は3/1,000です。納付は会社が年度ごとに申告して行い、雇用保険と労災保険を合わせて労働保険料として納めます。労働保険料の計算方法は、次の通りです。
(労働保険料)=(1年間に支払う賃金の総額)×(保険料率:労災保険率+雇用保険率) |
参考
事業主のみなさまへ 労働保険の成立手続はおすみですか(パンフレット)|厚生労働省
所得税
所得税の計算は、大まかに示すと次の通りです。所得税の税率は5~45%の7段階に区分され、所得の多い人ほど多く税金を納める仕組みになっています。
(所得税額)=(課税所得金額)×(所得税率)-(控除額)
※平成25年から令和19年までは復興特別所得税2.1%も課税 |
会社から給与が支払われる場合は、支払いの都度、金額に応じた所得税を差し引くことになっています。これを「源泉徴収」といい、どのくらいの税金が差し引かれたかは、年度末に会社からもらう「源泉徴収票」で確認することができます。
源泉徴収する税額は「給与所得の源泉徴収税額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って求めます。扶養家族を持たない単身者の場合、月の手取り額86万円未満までは、税額は手取り額の3.063%に相当する額です。手取り額と税額の関係について、いくつか例を抜き出してみましょう。
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額 | 税額 |
199,000円以上 201,000円未満 | 20,900円 |
257,000円以上 260,000円未満 | 39,400円 |
320,000円以上 323,000円未満 | 57,700円 |
410,000円以上 413,000円未満 | 92,500円 |
452,000円以上 455,000円未満 | 116,300円 |
(「給与所得の源泉徴収税額表(平成30年分)」 より筆者作成)
参考
住民税
住民税は市町村民税と都道府県税からなり、すべての住民に一律に一定額を課税する均等割と、所得に対して課税する所得割があります。均等割の標準税額は、都道府県民税が3,500円、市町村民税が1,500円。所得割については、前年度の所得税額が確定した後、それをベースに計算されます。所得割の税率は一律10%(都道府県民税4%、市町村民税6%)です。所得割の税額は次のように計算します。
(住民税 ※所得割・年額)=(課税標準額:所得金額-所得控除)× 10% |
参考
節税対策に役立つ住民税の知識。あなたは仕組みを理解していますか? | ファイナンシャルフィールド
年収から手取り額を計算する方法
一般的に手取り額は、給与額面の75~85%になると言われています。控除額は給与額や扶養家族の有無などによって変わりますので、割合に若干の幅があります。月収や年収の額面からおおよその手取り額をつかみたいなら、次の計算をすれば簡単に求めることができます。
(手取り額概算)=(総支給金額:月収/年収)× 0.75~0.85 |
参考
手取りの意味と月給・年収の額面から手取りを計算する方法 |転職ならdoda(デューダ)
年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応) | 酒居会計事務所