行政書士の合格率が低い2つの理由
過去10年間の平均合格率が10.29%と低い理由は、受験者の問題と試験対策の問題という2つの側面が考えられます。順にご説明しましょう。
受験資格に制限がないため勉強不足で記念受験をする人がいる
行政書士試験の受験資格は次のように記載されています。
年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。
(引用元:令和元年度行政書士試験のご案内|一般財団法人行政書士試験研究センター)
つまり受験資格に制限がなく、広く門戸が開かれているのです。年齢制限がないので、いつでも、何歳でも受験することができます。また「学歴・国籍等に関係なく」ということは、日本の法律についての下地ができていない人でも受験できるということです。
そのため、勉強が不十分なのは分かっていてもとりあえず受験するという人が一定数います。合格に対する本気度が低い受験者がいることが合格率に反映されていると考えられます。
試験対策を練らないと3つの合格基準を満たすのは難しい
行政書士は官公署に提出する書類作成の専門家ですので、法律や一般知識に精通している必要があります。そのため、行政書士の試験内容と配点は次の通りに定められています。
科目 | マークシート式 | 記述式(1問20点) | 配点 | 足切り基準点 | |||
5肢択一式
(1問4点) |
多肢選択式
(1問8点、空欄1つ2点) |
||||||
法令等 | 基礎法学 | 2問 (8点) |
- | - | 8点 | 122点以上 | |
憲法 | 5問
(20点) |
1問4空欄
(8点) |
- | 28点 | |||
民法 | 9問
(36点) |
- | 2問
(40点) |
76点 | |||
行政法 | 一般的法理論・統合 | 5問
(20点) |
1問4空欄
(8点) |
- | 28点 | ||
行政手続法 | 3問
(12点) |
- | - | 12点 | |||
行政不服審査法 | 3問
(12点) |
- | - | 12点 | |||
行政事件訴訟法 | 3問
(12点) |
1問4空欄
(8点) |
1問
(20点) |
40点 | |||
国家賠償法・損失補償 | 2問
(8点) |
- | - | 8点 | |||
地方自治法 | 3問
(12点) |
- | - | 12点 | |||
商法 | 5問
(20点) |
- | - | 20点 | |||
法令等小計 | 40問
(160点) |
3問12空欄
(24点) |
3問
(60点) |
244点満点 | |||
一般知識等 | 政治・経済・社会 | 7問
(28点) |
- | - | 28点 | 24点以上 | |
情報通信・個人情報保護 | 4問
(16点) |
- | - | 16点 | |||
文章理解 | 3問
(12点) |
- | - | 12点 | |||
一般知識等小計 | 14問
(56点) |
- | - | 56点満点 | |||
合計(300点満点) | 180点以上 |
参考
平成30年度行政書士試験合否判定基準|一般財団法人行政書士試験研究センター
行政書士試験は絶対評価で、一定基準以上の点をとれば良いとされています。その合格基準は以下の3つと定められています。
次の要件のいずれも満たした者を合格とする。
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2) 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
(3) 試験全体の得点が、180点以上である者S
行政書士試験の勉強範囲は広いので、すべてを完璧にマスターすることは難しいでしょう。そのため、配点が置かれている科目をしっかりと勉強し、残りは点数の取りやすい問題を選んで得点を重ねるという試験対策を練らなければ合格は難しいと言われています。
行政書士の試験勉強対策については下記記事に詳しく書かれていますので、ご覧になってください。
https://docs.google.com/document/d/1zH8_FGsjnZZB3vGp_6BMwDQ0T3UERAlGeSEgsm1sq6E(行政書士 独学)