給与について学ぼう!基本給にプラスされるものとは
上記の表から分かるとおり、手取り給与はさまざまなものを足したり引いたりして計算します。まずは、給与にプラスされる各種手当を見ていきましょう。
通勤手当
一部の場合を除き、会社員には通勤手当が支給されます。いわゆる交通費というもので、定期代をそのまま支給する所が多いでしょう。今回は、毎月10,000円として計算しました。
残業手当
残業をした場合は、残業手当が付きます。みなし残業制をとっている会社などでは、一定時間数の残業手当が基本給に含まれます。
資格手当
業務に関係する資格を持っている人に、資格手当を支給する会社もあります。資格の種類に応じて、一律月額○○円という支給の仕方が一般的なようです。
役職手当
役員など、一定の役職に就いている人に支給される手当です。このような手当を出さずに、基本給を上げる会社もあります。
家族・住宅手当
扶養家族がいる場合に、家族手当を出す会社もあります。扶養人数によって金額が変わります。
住宅手当は会社によってさまざまで、支給額が多いケースだと家賃のほとんどを負担してもらえることもあります。会社によっては、「オフィスから○駅以内」という条件に該当する場合に住宅手当を支給することもあります。これは職住近接を推進し、仕事の効率化を図るのが狙いです。
また、ユニークな制度として「保護猫手当」などを出している会社もあります。手当の種類は企業ごとに決められるので、どのような福利厚生があるかを就職前に調べてみるのもおもしろいかもしれません。
参考
会社の「2駅ルール」で起こる現象 思わぬ効果も |AERA dot.
「猫手当」の支給あり?! 転職情報サイトでも人気の「猫とはたらくIT企業」|まいどなニュース
立て替え経費など
「取引先に持っていくお土産を買った」「会議でお茶が足りなかったので、急遽コンビニで買い足した」など、会社の経費になるものを私費で立て替える場合があります。
これらの精算方法は会社によって異なりますが、給与と一緒にまとめて振り込むという方法をとる所もあります。先に支払ってあとから返してもらう形です。
このように、給与と一緒に振り込まれるお金は何種類かあります。これらを合計した上に、次の項目で解説する社会保険料・税金などを引いた額が手取り金額になります。
支給額から引かれる社会保険料
続いては、天引きされる項目です。まずは社会保険料ですが、社会保険料は給与の額面や扶養のある・なしによって異なります。どのような種類があるのかと、だいたいの計算方法を知っておきましょう。
雇用保険
失業すると「失業保険」がもらえることを知っている人は多いでしょう。この失業保険をもらえるのは、雇用保険に加入している人です。学生であったり、週の労働時間が所定時間を下回っていたりする人は加入できませんが、フルタイムで働く被雇用者は必ず加入しなければならないものです。
雇用保険は、非常に保険料率が低い保険です。一般的な事業の場合、給与の1,000分の9が保険料として定められています。このうち、会社と従業員の負担はそれぞれ6:3の割合となっています。
ちなみに、従業員負担が全くない保険として「労災保険」があります。これは仕事中、もしくは通勤中に起因する事故や病気などの「労働災害」を保障するための保険です。労災保険は、全額を会社が負担することになっています。労災保険と雇用保険を合わせて「労働保険」と呼ぶこともあります。
参考
労務担当者が知るべき「雇用保険」の基礎知識。加入条件、手続き方法は? | SmartHR Mag.
健康保険
病院を受診するときに持っていく健康保険証の健康保険です。健康保険料は「標準報酬月額」というものに基づいて算出されます。
「標準報酬月額」は、保険料の算出基準となるものです。50等級に分かれており、例えば1等級は報酬月額63,000円未満の人が該当し、標準報酬月額は58,000円となります。50等級は報酬月額1,355,000円以上の人が該当し、標準報酬月額は1,390,000円です。この金額に保険料率を掛けて保険料が算出されます。
保険料は都道府県ごと、もしくは加入している保険組合ごとに異なります。協会けんぽに加入している場合は、おおよそ標準報酬月額の10%前後が保険料になると考えておきましょう。
また、オフィスに無料で利用できる社員食堂があったり、会社が負担するおやつタイムがあったりする場合は、それらも標準報酬月額に含まれます。実費にするといくらくらいになるかを算出し、「現物支給」として標準報酬月額に加えます。
標準報酬月額は、毎年4・5・6月の報酬月額を平均して算出します。そのため、3・4・5月に残業をたくさんしてしまうと4・5・6月の報酬月額が上がり、健康保険料が1年間高くなるという仕組みになっています。
時短勤務への切り替えなどで支払額が大幅に減った場合は、標準報酬月額が改定されます。ただし、この場合も3ヶ月の支払いが終わったあとに算出されますので、それまでの間はもとの高い保険料が天引きされます。
法律では、健康保険料は会社と従業員で折半することになっています。ただし、会社が全額支払うことも違法ではないので、一部の大企業などでは福利厚生の一環として全額負担していることがあります。
参考
平成31年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表 | 全国健康保険協会
平成31年度保険料額表(平成31年4月分から) | 全国健康保険協会
厚生年金保険料を決める基準「標準報酬月額」って何?どうやって計算されているの? | ファイナンシャルフィールド
厚生年金
厚生年金も、社会保険と一緒に天引きされます。社会保険と同様標準報酬月額に基づいて料率が決定されます。金額は標準報酬月額のおおよそ18%前後で、会社と従業員で折半して支払います。
介護保険
介護保険は40歳から加入する必要がある保険です。40歳以上の要介護認定された人は、介護保険でさまざまなサービスを受けることができます。
介護保険料も、社会保険の標準報酬月額をもとに算出されます。加入している保険組合や自治体によって料率が異なることがありますが、おおよそ標準報酬月額の2%前後の保険料を会社と折半します。
ここまでが、標準報酬月額に基づいて天引きされる社会保険料です。
- 標準報酬月額は額面給与と異なる
- 社会保険料は標準報酬月額のおおよそ30%くらい
- 従業員本人の負担額はその半分の15%くらい
手取り計算の際には、これらのことを覚えておきましょう。
参考
40歳、65歳になったとき(介護保険制度について)|東京電子機械工業健康保険組合