大学無償化制度の2本柱
大学無償化制度の支援は、授業料減免と給付型奨学金の2本柱で行われます。受給資格要件は両者とも同じなため、給付型奨学金を受け取れる人は、授業料も減免されることになります。
授業料減免制度の創設
第Ⅰ~Ⅲ区分に認定された学生は、大学から授業料・入学金の減免を受けられます。減免額は下記の金額が上限となります。第Ⅰ区分の住民税非課税世帯は上限額いっぱいまで減免されるため、国立大学へ進学した場合は、入学金・授業料が無償となります。
授業料等減免の上限額(年額)(住民税非課税世帯)
国公立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 約28万円 | 約54万円 | 約26万円 | 約70万円 |
短期大学 | 約17万円 | 約39万円 | 約25万円 | 約62万円 |
高等専門学校 | 約8万円 | 約23万円 | 約13万円 | 約70万円 |
専門学校 | 約7万円 | 約17万円 | 約16万円 | 約59万円 |
(参照元:高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要|文部科学省、P2)
給付型奨学金の拡充
給付型奨学金は、日本学生支援機構より支給されます。給付型なので、返済の必要はありません。低所得者世帯の学生が学業に専念できるよう、生活費をまかないます。住民税非課税世帯の年間支給額は以下の通りです。
給付型奨学金の給付額(年額)(住民税非課税世帯)
国公立 大学・短期大学・専門学校 |
自宅生 約35万円 自宅外生 約80万円 |
私立 大学・短期大学・専門学校 |
自宅生 約46万円 自宅外生 約91万円 |
(参照元:高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要|文部科学省、P2)
まとめにかえて:大阪府立大・市立大は所得制限緩和を検討
今回の大学無償化制度は、低所得世帯の子供は学歴が低く、生涯賃金も低い傾向にある「貧困の連鎖」を食い止めるために導入されました。そのため、所得制限が厳しく設定され、恩恵が受けられるのは全学生の2割程度と想定されています。しかし、支援対象から外れる中所得者層にとっても学費や生活費の負担は重く、第2子・第3子の出産をためらう夫婦は少なくありません。
そのような情勢を踏まえ、大阪府は、3年後の統合を目指している大阪府立大と大阪市立大で、授業料無償化の対象を、世帯年収910万円未満とする方向で調整していると報道されています。実現すれば、幼稚園から大学までの教育無償化を名実ともに達成する、初めての例となるでしょう。
大学無償化制度が今後の教育政策、そして家庭の負担にどのような影響を与えるか、動向に注目する必要があるでしょう。
参考
学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度|文部科学省
高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)|文部科学省
【高校生等対象】申込資格・選考基準|日本学生支援機構JASSO
無償化対象「年収910万円未満」に 大阪府立大・市立大|日本経済新聞
大学無償化法の対象大学は?最新情報、詳細を解説 学費の目安も|やーぎの社会のミカタ
大学無償化法の実施時期や対象大学、補助金額を徹底解説【2019/10/17更新】|CLABEL