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2019年5月に大学等就学支援法が成立し、2020年4月より、待望の「大学無償化」が始まります。しかし、今回の法律で実際に大学が無償となるケースはごく一部です。大学等就学支援法では対象者や対象大学に厳しい制限が設けられています。この記事では、誰が、どの大学に行ったときに、制度の対象となるのかを解説します。
もくじ
大学無償化制度の対象となる大学・短大・高専・専門学校
通称「大学無償化制度」の正式名称は、「高等教育の修学支援新制度」です。この制度は4年制大学だけでなく、短大や高等専門学校、専門学校も対象に含まれます。ただし、全ての学校が対象となるわけではありません。
対象大学数
制度の対象となる学校数は合計約2,800校で、高等教育機関全体の約7割です。国公立大学や高等専門学校は全校が対象となりますが、私立大学は約97%、専門学校は約62%にとどまります。
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国立 | 82校 |
公立 | 106校 | |
私立 | 861校 | |
小計 | 1,049校 | |
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57校 | |
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1,689校 | |
合計 | 2,795校 |
(高等教育の修学支援新制度の対象機関数|文部科学省 より筆者作成)
大学無償化制度の対象大学など一覧
つまり、私立大学や専門学校の場合、今回の無償化制度の対象とならない可能性があります。文部科学省が、対象校の一覧を発表しているので、まずは志望校や在学校が無償化制度の対象となっているかどうか確認しましょう。
参考
高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト(全機関要件確認者の公表情報とりまとめ)|文部科学省
大学無償化対象となる大学の要件
大学無償化制度の根拠法である「大学等における就学の支援に関する法律」によると、制度の対象となる教育機関は、「豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等」と定められています。具体的にどのような大学が対象となり、どのような大学が対象から外れるのかを見てみましょう。
参考
対象となる学校
文部科学省が発表している、無償化制度の対象となる学校の要件を要約すると、以下のようになります。
- 実務経験のある教員による授業が1割以上配置されていること
- 法人の理事に外部人材を複数任命していること
- 授業計画の作成、成績評価の客観的指標の設定、卒業認定方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること
- 財務諸表や定員充足状況、就職状況などを開示していること
参考
高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要|文部科学省、P4
つまり、質の高い教育を施していて、経営状況が健全な高等教育機関が制度の対象となります。
対象から外れる学校
一方で、教育の質が確保されておらず、定員割れを起こして経営状態の悪化している教育機関は、制度が適用されません。大学無償化制度が、いわゆる「教育困難大学」の救済策にしないための措置です。制度の対象外とされる学校は、以下のような学校です。
- 直近の決算が債務超過の場合(貸借対照表の「運用資産-外部負債」がマイナス)
- 直近3年の経常収支が赤字の場合
- 直近3年の学生数が定員の8割未満の場合
参考
高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針の概要|文部科学省、P4
この措置を受け、私立大学のうち31校は、無償化制度の適用認定を申請しませんでした。文部科学省によると、そのうち10校弱は、経営上の要件が満たせない大学とのことで、その他の大学は、規模が小さく所得要件などを満たす学生がいない、独自の支援制度がある、などの理由で申請を見送りました。
なお、2019年度に定員割れした4年制私立大学は194校で、私立大学数の3割に上ります。私立短大にいたっては、全297校中228校が定員割れで、私立短大全体の8割近くに上ります。今回の無償化制度では、それらの定員割れを起こしている学校のほとんどが、適用認定を受けています。文部科学省は、低所得者に高等教育への道を開くためとしていますが、制度が「教育困難大学」を延命することになる懸念は残る結果となっています。
参考
大学・短大1043校を無償化 31校は申請せず|日本経済新聞
今春の私大定員割れ33% 3ポイント減、改善傾向続く|日本経済新聞