500点だと足りない!TOEIC®スコアの社会的評価
TOEIC®テストは日常の会話だけでなく、ビジネスシーンで使われる英会話も出題されます。そのため、ビジネス英語を習得するのに役立つ検定試験と言えます。日本では業務が国際化する昨今、外資系以外の一般企業でも、業務上必要となる英語コミュニケーション能力を全社的に向上する目的でTOEIC®テストの受験を社員に求め始めています。それでは、TOEIC®スコアの社会的評価はどの程度なのか、見ていきましょう。
企業が社員に期待するTOEIC®スコア
TOEIC試験を運営するIIBCにより調査された企業が期待するTOEIC®スコアについてまとめたのが次の表です。
【企業が社員に期待するTOEIC®スコアの範囲と平均スコア】
TOEIC®スコア範囲(点) | TOEIC®平均スコア(点) | ||
全社員 | 600 | ||
部門別 | 国際部門 | 660~840 | 750 |
営業部門 | 535~765 | 650 | |
技術部門 | 520~715 | 620 | |
ケース別 | 海外赴任がある場合 | 605~785 | 695 |
海外出張がある場合 | 570~780 | 675 |
参考
「上場企業における英語活用実態調査」報告書|TOEIC、P10・12
上の表を見ると、国際業務を行わない企業や部門であっても、TOEIC®600点を社員に求めていることが分かります。この企業期待を踏まえると、TOEIC®500点では企業が求める英語コミュニケーション能力には足りず、英語を使って業務を円滑に行うことはできないと評価されます。
今は国際業務に携わっていなくても、流動的な社会情勢の中で、将来的に企業業務がグローバル化する可能性もあることを考えると、TOEIC®500点のままでは不安が残ることとなりかねません。特に、外資系のように英語を母国語とする人々が多く働いている職場に勤めたい、もしくは取引したい場合は、さらなる英語能力の向上が必要です。
TOEIC®スコアが採用や昇格・昇進を左右する場合も
企業業務がグローバル化しているため、一部の企業では採用や昇格・昇進を決める考慮要件にTOEIC®スコアを採用しています。
【企業が社員採用時に期待するTOEIC®スコアの範囲と平均スコア】
TOEIC®スコア範囲(点) | TOEIC®平均スコア(点) | ||
採用応募時 | 625 | ||
採用方法別 | 中途採用社員 | 610~815 | 710 |
新入社員 | 465~670 | 565 |
【企業が社員の昇進・昇格時の要件とするTOEIC®平均スコア】(単位:点)
英語を使用しない部署 | 英語を使用する部署 | |
部長 | 580 | 655 |
課長 | 550 | 630 |
係長 | 545 | 600 |
役員 | 525 | 665 |
主任 | 520 | - |
参考
「上場企業における英語活用実態調査」報告書|TOEIC、P12
上記の2つの表より、TOEIC®のスコアが625点以上であれば就職状況を有利に展開でき、英語を使用しない部署であっても昇進には520点以上のTOEIC®スコアを求める企業が多いことが分かります。そのため、TOEIC®のスコアが500点程度では、英語能力の社会的評価はあまり高くないと言えるでしょう。
小学生から大学院生までのTOEIC®平均スコア
TOEIC®は、ビジネス英語のための試験と言われています。しかし、毎年多くの学生がTOEIC®を受験しており、TOEIC®の英語検定試験の認知度の高さが分かります。TOEIC試験を運営するIIBCが2018年度のTOEIC®受検者の学校・学年別の平均スコアを調査したものをまとめたのが次の表です。
【2018年度TOEIC®受験者の学校・学年別の平均スコア】
リスニング | リーディング | 合計 | |
小学校 | 221 | 142 | 362 |
語学学校 | 278 | 183 | 461 |
中学校 | 317 | 204 | 521 |
高校 | 250 | 168 | 418 |
高等専門学校 | 219 | 142 | 361 |
短期大学 | 251 | 163 | 415 |
専門学校 | 289 | 188 | 477 |
大学 | 257 | 197 | 454 |
大学院 | 292 | 238 | 530 |
参考
TOEIC Program DAA2019(和文)2019年6月版|TOEIC、P9
上記の表をみると、社会人未満の子供達の多くはTOEIC®500点以下、つまり英語レベルC~Dであることが分かります。高等教育段階では企業への就職が課題であるはずですが、就職を有利にするためのスコアには足りないと言えます。
TOEIC®テストがビジネス英語傾向が強い試験であるため、社会人経験のない子供たちが得点しづらいことはあるでしょう。しかし、企業での採用時にTOEIC®スコアの提示を求められることもあるため、TOEIC®500点の現状では就職を有利に進めることはできません。社会的に英語能力で高評価を得たい場合は、さらに勉強する必要があります。