法科大学院(ロースクール)とは?入試情報と学費・奨学金情報も紹介 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

弁護士・検察・裁判官を目指すなら、法科大学院に進学するのが最も近道です。法科大学院は、大学で法学部を専攻していなくても、入学することができます。法科大学院とはどのような機関なのでしょうか? 2020年4月より開始される法曹コースとはどのようなコースでしょうか? 入試情報と学費・奨学金情報も併せてご紹介します。

法科大学院(ロースクール)とは?

法科大学院の役割

法科大学院とは、「法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクール」です。法曹とは法律に関する専門家のことで、弁護士・検察・裁判官を指します。複雑化する社会において、多様な問題に対応できる質の高い法曹人材を養成するために、2004年に導入されました。

少人数制で双方向の授業が行われ、法曹の現場からも教員を招くなど密度の濃い授業を展開。理論だけでなく実務実習も必修で、実践的な能力を養成しています。法科大学院を修了すると、弁護士・検察・裁判官への登竜門である司法試験の受験資格が得られます。

予備試験との違い

司法試験の受験資格は、法科大学院を修了する以外にも、予備試験に合格することで得られます。予備試験は、法科大学院を修了したのと同程度の知識と能力があることを判定するものです。法科大学院は修了するのに一定の年限在学する必要があるのに対し、予備試験は誰でも受けることができます。つまり、大学法学部や法科大学院へ行かなくても、独学で予備試験に合格すれば、司法試験への道は開かれます。とはいえ、2019年度の予備試験合格率はわずか3.9%で、かなりの狭き門と言えるでしょう。

参考

平成30年司法試験予備試験の結果について|法務省

法学既修者コースと法学未修者コース

法科大学院には、大学法学部卒業生などを対象とした法学既修者コースと、法学の基礎知識のない未修者コースがあります。

法学未修者コース(3年間)

法学未修者コースは、法学を勉強したことのない人が対象で、最初の1年間で法律の基礎科目を学びます。入試で法律科目の試験は課されず、小論文と面接で選考されます。入学後は、法学部の学生が4年かけて勉強する内容を1年で習得しなくてはならないため、相当の勉強量を覚悟しなくてはなりません。途中でついていけなくなる学生も多く、3年で卒業できる学生は半数以下にとどまります。

参考

法科大学院入学、未修者3割枠撤廃へ 志願者が激減|朝日新聞

法学既修者コース(2年)

法学既修者コースは、法律の基礎科目をすでに修了している学生が、法律の実践・応用を学ぶ2年間のプログラムです。入試で法律科目の試験が課されます。受験者のほとんどが大学法学部卒業生です。しかし、試験にさえ合格すれば、法学部出身でなくても既修者コースに入学できます。既修者コースの2年間での修了率は約75%に上ります。

参考

法科大学院修了認定状況の推移(平成17年度~平成30年度)|文部科学省

法曹コース新設で法曹への道を短縮

司法試験改革の目玉として導入された法科大学院ですが、志願者数は年々減少しています。その理由は、法科大学院修了者の司法試験合格率が期待したほどには高くないことと、法科大学院を経て法曹界に入るまで期間が長くコストがかさむことです。ピーク時に74校あった法科大学院ですが、志望者減少で募集停止となる学校が相次ぎ、2020年も募集を続けるのは35校にとどまります。

この状況にテコ入れするために、2020年4月より、大学法学部と法科大学院が連携して、あらたに法曹コースが設置されることになりました。

現行制度は、大学法学部に4年、法科大学院既修者コースに2年を要します。司法試験は法科大学院在学中に受験できないため、卒業後の1年を司法試験受験に充てる必要があります。合格後、司法修習に1年かかるため、大学入学から法曹界入りするまで最短でも8年間かかります。

新設される法曹コースでは、大学を3年間で卒業し、法科大学院既修者コースへ進めるようにします。大学在学中から法科大学院の基礎科目を学べ、司法試験の準備を早く始められるようになります。司法試験は、「修了見込み」で受けられるようになるため、法科大学院在学中に受験できます。それにより、大学1年分と司法試験受験の1年分を節約でき、最短6年で法曹界入りできるのです。

参考

法曹資格「最短6年」 法科大学院にてこ入れ|日本経済新聞