大学進学を目指すなら
高校を卒業したその先、就職ではなく大学進学を目指すなら、次のような選択肢が考えられます。
通信制高校「N高」:難関校も射程に入るネットの高校
N高等学校は、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する異色の通信制高校です。スマホやパソコンを使ったインターネット授業で、大学受験のための学習のほかプログラミング、外国語、エンタテインメントやクリエイティブ系の授業など、興味のある分野を学ぶことができます。2019年の春には第1期卒業生から九州大や筑波大、早稲田、慶應、上智など難関大学への合格者を出し、話題になりました。
N高のもうひとつの特色は、インターネットの特色を生かしたインタラクティブなコミュニケーションにより、通信制の高校でありながら教師と生徒、生徒同士のつながりを構築していることです。やりたいことが明確で、オンラインとリアルの繋がりを抵抗なく行き来できる子供なら、有意義な学びができるのではないでしょうか。
参考
入試ないN高から慶大生が8人も出たワケ 教科力よりも「導く力」|ライブドアニュース
国際バカロレア認定校:海外の大学に目を向ける
日本の高校の学習スタイルがしっくりこない、英語など得意分野の授業にもどかしさを感じるなど教育とのミスマッチが原因で高校が苦手になっているなら、海外へ出ることも選択肢のひとつ。国際的な大学入学資格「国際バカロレア資格」を取得できるDP(Diploma Programme)を備えた認定校への入学を考えてはどうでしょうか。
認定校には、学校教育法の第1条で定められた「高校」(1条校)と、「各種学校」にあたるインターナショナルスクールの両方があります。いずれにせよ転・編入学は可能ですから、地域や校風などを考慮し、検討してみましょう。
参考
高卒認定試験:高校に通わず大学を目指す道
高校を卒業しないで大学を受験するには、高等学校卒業程度認定試験を受けて学力認定を受ける方法があります。教科は「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」の6教科で、それぞれに設定された必修の科目に合格することが必要です。
そのほかインターナショナルスクールから日本の大学を目指す際も、高卒認定試験を利用することができます。日本の大学の入学資格を得るにはいくつかの条件を満たす必要があるのですが、そのどれにも該当しない場合でも、高卒認定試験に合格することで受験が可能になるのです。
参考
高校中退を避けるために保護者のできること
国立教育政策研究所『高校中退調査報告書』は、ある県の公立高校の平成23年度入学生を対象に、3年間にわたる質問紙調査から、中退に至る可能性の高い要因を探ったものです。この報告をもとに、高校中退を避けるために保護者のできることを考えてみましょう。
この調査から見えてきたことは、次のようなことです。
- 高校1年の1学期に、中退者では学校生活に関するネガティブな評価が大きく強まる。
- いくつかの特定項目についてネガティブ評価が多くなると、中退に至る可能性が高くなる。
- 授業や学校行事への積極的な参加が、高校中退の防止に影響を及ぼす可能性が高い。
- 高1段階で「授業がよく分かる」実感があることは、中退に歯止めをかける。
- 毎日の生活での楽しかったことや嫌だった出来事を家族とよく話している生徒ほど、中退に歯止めがかかる。
大事なのは、子供に真面目な取り組み姿勢や参加意欲を要求することではありません。分かる喜びや、自分の意思で取り組んでいるという主体性を実感させることです。特に保護者は5点目について、重要な役割を果たすことができるでしょう。
高校生活に意欲を持てないでいる姿に、保護者はつい心配を口にしてしまったり、叱咤激励をしてしまったりするかもしれません。ですがネガティブな感情に負けそうな時、さらに否定的な言葉をかけられてポジティブな力の湧く子供はいるでしょうか。保護者のできることは、子供がどんな状態にある時も受け止めてバックアップし、その意欲や挑戦を応援する揺るぎない土台となってあげることではないでしょうか。
参考
国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センター(2017年)『「高校中退調査報告書」~中退者と非中退者の比較から見えてきたもの~ 』
まとめ
高校を中退してしまったり高学歴を得られなかったりすることは、本人の努力や能力を否定するものではありません。人は誰しも、人生のどこかでつまづいたり機会に恵まれなかったりし得るのです。人生の初めのほうでの教育の不利がそのまま就職や経済上の不利につながってしまう現状は、個人の問題というより社会の問題だと捉えるべきでしょう。
それでも現状をそのままにしながら、「中卒でも頑張れば成功する!」とキラキラした言葉を子供たちに投げかけるのは、非常に無責任なことだと考えます。社会に出た時に子供たちが頼れる武器、よりどころとなる自信を持たせてから送り出してあげること、一度や二度つまづいても、回り道をしても問題にならない社会を作ること。そのふたつの責任を、私たち大人は担っているのではないでしょうか。