消防大学校の3つカリキュラムとは
消防大学校は3つカリキュラムで構成されています。
総合教育
総合教育は、幹部科・上級幹部科・新任消防長/学校長科・消防団長科の4学科で構成されています。リーダーを養成するという目的は共通していますが、科によって内容に違いがあるのが特徴です。下記の通り、概要をまとめました。
学科 | 修得期間 | 内容 |
幹部科 | 2ヶ月 | 消防の高度な知識や技術を学び、消防の幹部として相応しい人材を養成。大災害時の現場指揮などの訓練も実施。 |
上級幹部科 | 3週間 | 同上 |
新任消防長/学校長科 | 2週間 | 新たに消防長や消防学校長となる人材に対し、指揮訓練・危機管理・指揮シミュレーションなどの能力や知識の習得を図る。 |
消防団長科 | 1週間 | 主に消防団の上級幹部を対象に消防団の運営の知識や能力を育成する。加えて、女性消防団活動のカリキュラムも展開。 |
(”平成31年度教育訓練実施要領|消防大学校”・”教育訓練 消防大学校 P.3|総務省消防庁”より筆者作成)
専科教育
専科教育は、警防科・救助科・救急科・予防科・危険物科・火災調査科・新任教官科・現任教官科の8学科で構成されています。
学科 | 修得期間 | 内容 |
警防科 | 2ヶ月 | 警防活動の多様な理論・事例・戦術、指揮訓練などのカリキュラムを展開。 |
救助科 | 2ヶ月 | 救助業務の指導者としての知識を深めるとともに、訓練の企画運営の演習なども実施。 |
救急科 | 1ヶ月 | 救急隊長が主な対象者であり、救急業務の技術向上を図る。また、救命士の再教育では課題研究も課される。 |
予防科 | 2ヶ月 | 燃焼理論や査証・違反処理といった予防に関連した知識を習得。講義演習においては技術の向上を目指す。 |
危険物科 | 1ヶ月 | 危険物保安業務に関するカリキュラムを学び、主に企業防災などを修得。実習系では、燃焼理論により実際に燃えるプロセスについても学ぶ。 |
火災調査科 | 2ヶ月 | 火災の調査の現場運営・鑑識要領、訴訟対応などの火災調査に関連したカリキュラムを展開。実際の火災現場を再現した模擬家屋の調査実習も実施。 |
新任教官科 | 2週間 | 新任の消防学校教育訓練の教官に対し、教育心理学や安全管理などの知識と技術の向上を図る。 |
現任教官科 | 1週間 | 現任の消防学校教育訓練の教官などに対し、業務運営・予防業務・警防業務の3つをトータルで指導できることを目的とする。 |
(平成31年度教育訓練実施要領|消防大学校・教育訓練 消防大学校 P.4~|総務省消防庁より筆者作成)
実務講習
実務講習は、緊急消防援助隊教育科・危機管理/防災教育科・女性活躍推進コース・査察業務マネジメントコースの4つのカテゴリーで構成されています。あらゆる災害シーンを想定したカリキュラムとなっており、コースによって修得期間が異なります。
学科 | コース | 修得期間 | 内容 |
緊急消防援助隊教育科 | 指揮隊長コース | 2週間 | 大災害時に多くの人たちの身を守れるよう、高度救助活動の現場管理・NBC災害の初動対応・航空隊と地上部隊の連携などの実践的なカリキュラムが豊富。 |
高度救助・特別
高度救助コース |
2週間 | ||
NBCコース | 3週間 | ||
航空隊長コース | 2週間 | ||
危機管理・防災教育科 | 危機管理・
国民保護コース |
1週間 | 危機管理および防災担当者・自主防災組織の育成担当者・消防団の教育訓練担当者などが対象。課題演習・図上訓練・まち歩き研修体験などのカリキュラムで構成される。 |
自主防災組織
育成コース |
1週間 | ||
自主防災組織育
成短期コース |
2日間 | ||
消防団活性化
推進コース |
1週間 | ||
女性活躍推進コース | 2週間 | 女性消防吏員の幹部候補生が対象。キャリア形成をサポートし、職域拡大などを目指したカリキュラムを展開。 | |
査察業務マネジメントコース | 2週間 | 消防本部の予防業務を主管する係長以上が対象。違反処理といった査察業務全般にわたりマネジメントできることを目的とするコース。 |
(平成31年度教育訓練実施要領|消防大学校・教育訓練 消防大学校 P.6~|総務省消防庁より筆者作成)
参考
消防大学校の緊急消防援助隊教育科指揮隊長コースの学生がドラゴンハイパー・コマンドユニットを視察しました。|市原市