教育困難大学とは何か?時代背景・学生の特徴・課題も紹介 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

みなさんは「教育困難大学」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。あまり聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、聞いたことがあるという方でも、どのような線引きで「教育困難大学」になるのかよく分からないのではないでしょうか。

今回は、最近よく耳にするようになった大学入試のキーワード・教育困難大学についてご紹介します。

教育困難大学とは

教育困難大学とは、受験偏差値が35~39あたりと低めであり、かつ志願者が定員割れしており、合格するのにハードルが低い大学と言われています。加えて、知名度も低めなのが特徴の一つとして挙げられます。

そして、教育困難大学のまたの名を「Fランク(通称:Fラン)大学」とも言います。ちなみに「Fランク」の「F」は英語の「Free」の頭文字。入試で選抜もほとんどせず、誰でも受け入れるということから由来しています。

教育困難大学が生まれた時代背景

教育困難大学が生まれた背景は、今日の日本の教育事情とリンクしている点があるのが特徴です。この章では、教育困難大学の時代背景の主な特徴を解説します。

少子化と大学増設

1970年代生まれの今の親世代が高校生だったときは、第2次ベビーブームのあおりを受けて子供の人数が多かった時代です。大学入試も基礎学力がないと入れず、かつ今よりも大学数が少なかったこともあり、浪人になったり、滑り止めの大学に辛うじて入ったりしたケースもよくありました。

しかし1982年から子供の数は減り続け、そんな中でも大学の数が増えたり、専門学校や短大から大学へ移行したりする学校がありました。これにより、あまり受験勉強をしなくても大学に入りやすい状況ができてしまったのです。このような時代の流れが、教育困難大学と呼ばれる原因を作ってしまいました。

参考

子ども、平成で787万人減 進む少子化「令和でも…」|朝日新聞デジタル

15歳未満の子ども数は38年連続、人口に占める子どもの割合は45年連続で減少―総務省 |メディ・ウォッチ

平成30年間で300校増え800超える大学。210校定員割れなのになぜ潰れない|BUSINESS INSIDER JAPAN

AOや推薦合格数の増加

1990年代前半は、一般入試で大学に入るという流れが一般的でしたが、その後の入試改革によって、年明け前に合格が決定するAO入試や推薦入試を導入する大学も増加しました。AO入試や推薦入試で入った学生の中には、学校の勉強だけして一般入試の対策をほとんどせず、通塾の負担なしで大学へ入ったケースもあります。

最近では、大学側が生き残りをかけて早く入学者数を確保したいという思惑もあり、学力が伴っていないと思われるAO入試や推薦入試の枠を増やして、一般受験枠を減らした事例もあります。

高校授業料の無償化

現在、基本的に高校の授業料は、国公立も私立も関係なく保護者が負担することになります。ただし、その保護者が失業した、経済的に苦しくなった場合、家庭環境によっては無償にしてもらえる制度を設けています。その制度のおかげもあり、生徒は退学せず、継続して高校生活を送ることができます。

高校の授業料の無償化は、学力と向上心が備わっている生徒には良い制度です。しかしながら、そのように経済的に逼迫した家庭の生徒で、かつモチベーションが低いまま大学受験に臨もうとすると、無試験に近い状態で入れる教育困難大学に同じような学生が集中してしまうリスクも考えられます。