学校司書と司書教諭の違い
専門性や職務領域の分担
司書教諭と学校司書は、ともに学校図書館の運営に当たる専門職でありながら、学校での法的な立場は異なります。
- 司書教諭=教員
- 学校司書=事務職員
九州大学大学院から出された論文では、学校図書館の現状と課題をまとめ、司書教諭と学校司書の職務の違いを、次のように整理しています。
- 司書教諭:教育活動の面での中核的役割。教諭としての専門性寄り。
- 学校司書:学校図書館の円滑な管理運営。司書としての専門性寄り。
とはいえ、二者の担当領域は、はっきりと分けられているわけではありません。
参考
学校図書館 「司書教諭」と「学校司書」及び「司書」に関する制度上の比較|文部科学省
成清鉄男(2003年)『小・中学校における学校図書館経営の現状と課題』教育経営学研究紀要 No.6, pp.83-86
担当領域ははっきりと分かれているわけではない
下の図は、子どもの読書サポーターズ会議が2009年に作成した、学校図書館スタッフの役割分担に関する概念図です。司書教諭と学校司書の担当する業務の領域が、それぞれのメイン領域を持ちながらも多くの部分で重なっていることが分かるでしょう。
実際の学校現場でも、それは同じです。学校司書の配置されていない学校も多くあるため、誰がどんな業務を担っているかは、学校ごとに異なります。
(参照元:子どもの読書サポーターズ会議(平成21年3月)『これからの学校図書館の活用の在り方等について(報告)』)
待遇や配置状況の現状
司書教諭と学校司書の待遇や身分は、法律で明確に決められているわけではありません。司書教諭の場合は「教諭をもって充てる」と規定されているのみ。司書教諭がクラスの担任をしていることもありますし、図書館専任ではなく授業を担当しているのが実状です。一方学校司書は、非常勤勤務であったり複数の学校で兼任したりすることも珍しくありません。
2016年の全国の学校での司書教諭と学校司書の配置状況は、次の通りです(2016年4月1日現在、カッコ内は2016年5月現在)。法改正がなされたため司書教諭の配置はほぼ100%ですが、学校司書の配置されている学校は、まだ不足していることが分かります。
■司書教諭の配置状況
■学校司書の配置状況
(参照元:文部科学省児童生徒課 平成28年度「学校図書館の現状に関する調査」結果について(概要)| 学校図書館における人的整備の状況,p1)