大学のレベル低下
学生のレベルだけでなく、大学自体の質はどのようになっているのでしょうか。識者の意見から読み解きます。
教員の質低下
教員の質低下については、実践女子大学非常勤講師の大理奈穂子氏がインタビューで「看護学部の教員が不足している影響」を指摘しています。論文作成の基本を知らない、英語の論文作成ができないなど、基本的な部分ができていない教員も少なくないのだとか。その背景には、看護師不足の問題解決のために、看護大学や看護学部の新設が増えたことがあるとしています。
参考
学力は中学レベル…大学教育、崩壊の実態 想像を絶する学生&教員の質劣化|ビジネスジャーナル
世界では考えられない「有名人が教員」
芸能人やスポーツ選手、ジャーナリストが教鞭を持つのは、日本では当たり前の光景ですが、大理氏によると、これは「世界では考えられない」といいます。大理氏が問題視している点は以下の2つです。
- 有名人が教員になると、その分ポストが減り、教員や学者のモチベーションが下がる
- 有名人に惹かれて入学するような学生が多く、学力がなくても容易に入学できる
参考
学力は中学レベル…大学教育、崩壊の実態 想像を絶する学生&教員の質劣化|ビジネスジャーナル
教職員のグローバル化が進んでいない
Philip G. Altbach氏によると、日本は教職員のグローバル化や外国人の教職員を有効活用できていないとしています。世界のトップ校から有能な教員を招聘(しょうへい)するだけではなく、採用した教員にどうすれば最大限力を発揮してもらえるのかを考える必要があると講演で語っています。日本は外国人の教職員によい待遇を与えながらも、その効果が得られていないとしています。
これで変わる?大学改革の3つの方針とは?
2017年4月から、大学改革の一環として「3つの方針」の策定と公表が義務付けられるようになりました。3つの方針とはどのようなものなのでしょうか。ここではそれぞれ簡単に説明していきます。
参考
大学はまだまだ変わる? 「三つの方針」義務付けで|ベネッセ教育情報サイト
入学者の受入れに関する方針
入学者の受入れに関する方針は「アドミッション・ポリシー」と呼ばれます。主に「大学が求める学生像」を明示します。当然、大学によって内容は異なり、「どんな学生を求めているか」「どのような選抜を行うか」などが明確に記されます。
学部だけでなく、各学科におけるアドミッション・ポリシーを明示する大学が多数です。
教育課程の編成及び実施に関する方針
「カリキュラム・ポリシー」と呼ばれます。ここでは、実際に大学で行う教育内容について詳しく記されます。「教育内容の実施方法」や学修成果の「評価基準」など具体的に明記されています。
卒業の認定に関する方針
「ディプロマ・ポリシー」と呼ばれます。大学が卒業資格を出す学生の基準となります。卒業時に身につけているべき能力や知識について定められ、卒業要件を満たすと、「学士」という学位が与えられます。基準は大学や学部によって異なります。
まとめ
日本の大学にはさまざまな問題点がある一方、世界的にも評価される点もありました。問題視される部分は、学生の心がけ次第でクリアできるものもあります。「日本の大学はレベルが低い」とは一概にはいえないでしょう。
参考
第2章 第2節 教育課程編成・実施の方針について-学生が本気で学び,社会で通用する力を身に付けるよう,きめ細かな指導と厳格な成績評価を-|文部科学省
学力は中学レベル…大学教育、崩壊の実態 想像を絶する学生&教員の質劣化|ビジネスジャーナル
三つの方針の策定・公表に関する省令改正(PowerPoint)|文部科学省
今後のわが国の大学改革のあり方に関する提言- 概要版 -(PDF)|一般社団法人 日本経済団体連合会
日本の大学卒業率は「異常」? 激化する大学間競争のなかで地方大学が果たす役割とは|AERAdot.
「小学生レベルの学力」どころではない 難関大の学生も驚愕の「常識崩壊」|JCAST会社ウォッチ