日本の大学教育の問題点とは?
Philip G. Altbach氏は日本の高等教育の悪い面について、グローバル教育での遅れを挙げています。中国や韓国、香港などがグローバル教育分野において急成長を遂げている中、日本は本当の意味での国際化が起きていない状態だとしています。
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「日本の高等教育は世界のライバルに後れを取りつつある」世界的権威が語る|リクナビNEXTジャーナル
また、『高学歴女子の貧困』(光文社新書)の共著者で実践女子大学非常勤講師の大理奈穂子氏はインタビューで、「日本のアカデミズムの価値の低さ」を指摘。内田氏同様、OECD加盟国の中で、高等教育に費やす国費の比率がワーストワンである点を問題視しています。
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学力は中学レベル…大学教育、崩壊の実態 想像を絶する学生&教員の質劣化|ビジネスジャーナル
大学生の学力の低下
「漢字の読み書きができない」「分数の通分ができない」など、大学生の学力低下を紹介するニュースがたびたび報じられるようになりました。大学生の学力低下について大理奈穂子氏は以下のように話しています。
私は私立大学の福祉学科で教えた経験があります。安倍政権の成長戦略で介護は成長産業に位置づけられていますが、その担い手になる人材を育成する福祉学科の学生の学力には驚きました。地を這うような低レベルで、高校生のレベルにも達していなくて、中学1~2年のレベルでした。しかも、勉学に対するモチベーションも極めて低い。
(引用元:学力は中学レベル…大学教育、崩壊の実態 想像を絶する学生&教員の質劣化|ビジネスジャーナル)
日本の学生は勉強をしない?
日本の大学は「入難出易」
日本の大学は基本的に入学が難しく、卒業が簡単な「入難出易」。入学試験に対する比重が大きく、入学後はそれなりに勉強すれば問題なく卒業できるとされています。
『地方大学再生』(朝日新書)などの著作がある小川洋氏は以下のように書いています。
日本の大学卒業率は、90%程度と推計されている。中退理由は、経済的事情がもっとも多い。フランスの学士課程(3年間)では、毎年半数が脱落すると言われ、卒業率は4分の1以下である。アメリカでは有力私大では9割以上となるが、入学のハードルの低い州立大学では5割以下とされる。
(引用元:日本の大学卒業率は「異常」? 激化する大学間競争のなかで地方大学が果たす役割とは|AERAdot.)
ドイツ在住のフリーライター・雨宮紫苑氏も、ドイツの大学と比較して日本の大学は中退者が少なく、卒業者が多いとしています。このことから、日本の学生は入学前に一番勉強するのでは、と推察できるでしょう。
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日本の大学教育が機能不全を起こす根本原因|東洋経済ONLINE
就職や社会で評価されるのは、「大学名」という現実
雨宮氏は、日本の学生が勉強しないとされる点について、「単なる怠惰ではない」としています。その理由として、一部の理学系学部や医学部以外では、成績や専攻が軽んじられている現状を指摘。大学での成績がその後の人生にあまり影響がないことや、「大学名」ばかりが重視される社会では、学生の学ぶ意欲低下も仕方ないと一定の理解を示しています。
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日本の大学教育が機能不全を起こす根本原因|東洋経済ONLINE
海外の大学と比較するとやさしい?単位の取り方
日本の大学は海外の大学と比較して、一般的に単位の取り方がやさしいとされています。雨宮氏によると、ドイツでは必修の授業を3回落とすと学籍を失うという厳しいルールがあるそう。
たとえば、経済学部の必修である「簿記」を3回落としたら、経済学部の学籍を失い、2度とドイツ国内で経済学部に入学することはできない。
(引用元:日本の大学教育が機能不全を起こす根本原因|東洋経済ONLINE)
必修を複数回落としただけで学籍を失うだけでなく、国内の同じ学部に進学できないとは日本では考えられないでしょう。