弁護士の年収・平均給料について
弁護士になるためには厳しい試験を突破する必要があるため、いまだにエリートである、高年収であるというイメージがあります。実際の年収が数千万円の人もいれば、ギリギリの収入で活動している人もいます。
年収・平均給与
日本弁護士連合会では弁護士の実勢調査を行っています。そのアンケートによると弁護士として活動した所得額は500万~1000万円未満が全体の回答数で最も多く、18.1%でした。次いで、1000万~1500万円未満が15.0%、100万~500万円が11.1%と続きます。
このデータを見る限り、一般的な会社員よりは高年収といえます。しかし際だって数千万を稼いでいる人はほんの一握りです。またオーバーワークになりやすい実態があるので決して楽に稼げる仕事ではありません。
参考
昇給・昇進・キャリアアップするための方法
弁護士の仕事は年齢を重ねるごとに信頼性を増し、キャリアアップにつながることがほとんどです。女性であっても妊娠・育児で辞めることは少なく、働き方を見直すことで弁護士として長く働くことができます。
これまでは弁護士事務所に勤め、後に独立開業というキャリアパスが一般的でした。しかし近年では「インハウスローヤー」といい、官公庁や企業で働く弁護士も増え、弁護士のキャリアパスは多様化しています。単純に高額な収入を得るだけでなく、ワークライフバランスを重視したり、専門性を重視したりとさまざまです。
弁護士事務所に勤務
弁護士の国家資格に合格したら、まず弁護士事務所に勤務することが一般的です。もし将来開業を目指すにしても一度籍を置いて、ノウハウを積むのもいいでしょう。事務所の選び方で大切なことは、自身がどのような活動を行っていきたいかを考え、それに近い活動をしている事務所を選択することです。法律事務所は専門性に応じて主に3つに分類されます。企業法務系・総合系・一般民事系です。
企業法務系は大手企業を主なクライアントとしており、M&Aやプロジェクトファイナンスなど専門性の高い、複雑な業務に携わることが多いです。語学力が重要視されるケースもあります。
総合系法律事務所は最も業務の幅が広いです。その分幅広い法令を扱うため訴訟も多く経験できます。
一般民事系は相続や離婚、債務整理など幅広い民事案件を中心に業務を行っています。専門性は低くなる傾向ですが、得意分野を伸ばす努力が必要です。
外国法務弁護士資格の取得
弁護士としてのキャリアを広げるために、外国法務弁護士の資格を取得する方法もあります。外国法務弁護士は日本以外の国の弁護士資格を持っている人を指し、テレビや新聞では国際弁護士と呼ばれることが多いです。
近年ではグローバル化にともない、企業の戦略の一環として外国法務弁護士資格に注目が集まっています。たとえば海外に支店を出したり現地の従業員とトラブルが起きたりしたときなど、海外の弁護士と対等に交渉を進めていくためです。
企業に勤める(インハウスローヤー)
近年では従業員として企業に勤め、弁護士としての業務を行う人が増えています。企業弁護士、またはインハウスローヤーと呼ばれています。社内法務、知的財産や国際法務、M&Aなど業務内容は多岐にわたります。インハウスローヤーが増加している背景には、世間一般のコンプライアンスの高まりがあります。これまでは弁護士を法律事務所に委託していたのですが業務量が増加したために、自社で弁護士を雇用してコスト削減やレスポンスのスピードアップを図っています。
弁護士としても経験の幅を広げるためにインハウスローヤーになるケースが増えています。企業では予防法務や戦略法務などさまざまな分野を扱うことができるからです。
独立・開業する
弁護士資格を活かして独立・開業を志す弁護士も少なくありません。その場合、開業資金の調達や経営の仕方、仕事の取り方など本業とは異なる知識も必要です。
通常独立するには10年間、事務所に勤務し経験や人脈を作って独立するのが一般的でした。しかし即独といって弁護士資格を取得し、すぐに独立する若手弁護士も増えつつあります。弁護士の数が増え、事務所に所属できない若手が増えたからと言われています。弁護士の業界は経験が信用になる業界であるため、独立開業は厳しいものになりがちです。しかし法律に関する悩み事はなくなることはないため、営業力を磨き他にはない専門性を得ることができれば十分に成功する可能性があります。