「大藪春彦賞」とは?大藪春彦の名を冠する文学賞について解説! - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 3

大藪春彦とは

純文学でも大衆文学でもない、ハードボイルド作品を書き続けた大藪春彦。現役時代はまさかその名を冠する文学賞ができるとは思いもしなかったでしょう。大藪春彦とは、どんな人物なのでしょうか。

経歴

大藪春彦は1935年ソウル生まれです。早稲田大学を経て、1958年にデビュー作『野獣死すべし』(光文社文庫)が江戸川乱歩に推薦され雑誌『宝石』に掲載されました。著作『甦る金狼』(角川文庫)、『汚れた英雄』(角川文庫)は映画化・ドラマ化され、幅広い世代のファンがいます。

1996年、肺炎のため61歳で急逝しました。

作風

大藪春彦に根強いファンがいるのは、その作風が魅力的だからにほかなりません。大藪春彦の作品は、いずれも膨大で緻密な資料を基に書かれています。1冊の作品を書くために段ボール箱10数個分の資料があったと言われています。

そして、短文で畳みかけるような文体はスピード感があり、読者を飽きさせません。また、大藪春彦の作品は主人公がとても魅力的です。ハードボイルドやバイオレンスというジャンルは血生臭さや泥臭いイメージがつきものです。しかし、大藪春彦の作品の主人公には、そういった雰囲気はありません。

例えば、時代劇のように相手を斬り倒した後の爽快感がありながら、孤高のヒーローとしての気高さも感じます。それは、大藪春彦の描く主人公が、自らを鍛えて高め、一流のスナイパーになっていくからです。

だからこそ、大藪春彦の作品を読むと読者自身が伊達邦彦になったり、朝倉哲也になったりするのです。つまり、作品の主人公は読者にとって自分を投影したくなるヒーローとも言えます。作風が一貫していることが、大藪作品の人気の秘密でもあります。

まとめ

大藪春彦の作品は、純文学や大衆文学と比べればアウトローでしょう。しかし、読んだ後にカタルシスを得て、自分もヒーローに憧れる、そんな作品も後世に残されるべきではないでしょうか。
大藪春彦亡き今の時代こそ、単に末梢神経を刺激するだけではないハードボイルド小説の継承者を育てるためにも、大藪春彦賞は注目される文学賞なのです。

参考
大藪春彦賞|徳間書店
大藪春彦賞|文学賞の世界
生島治郎|Wikipedia
大沢在昌|Wikipedia
北方謙三|Wikipedia
馳星周|Wikipedia
大藪春彦|Wikipedia

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cocoiro編集部

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