「大藪春彦賞」とは?大藪春彦の名を冠する文学賞について解説!

文学好きな人なら、新聞や雑誌で文学賞のニュースを見るのも楽しみの1つです。
保護者の中には読書が好きだったり、昔は作家を目指していたという人もいるかもしれません。そういった場合、「我が子が作家になって文学賞を取ってくれないか」と思うのも自然な気持ちです。

文学賞といえば芥川賞や直木賞が有名ですが、「大藪春彦賞」というものもあります。当記事では、大藪春彦賞について紹介します。

大藪春彦賞とは?

大藪春彦賞は1997年に創設された文学賞で、第1回は1999年に受賞者が決定しました。本賞を後援している徳間書店のサイトによると次のように定義されています。

作家、大藪春彦氏の業績を記念し、優れた物語世界の精神を継承する新進気鋭の作家及び作品に贈られる。

(引用元:大藪春彦賞|徳間書店

選考対象は、毎年10月1日から翌年9月末日までに発表された小説作品です。受賞者には賞状並びに顕彰碑と副賞として300万円が授与されます。2018年には20回記念として「大藪春彦新人賞」も創設されました。

選考委員は、生島治郎・大沢在昌・北方健三・夢枕獏など、文壇で活躍している作家で構成されています。賞品や副賞の金額、選考委員の顔ぶれから、大藪春彦賞は大きな賞の1つと言えるでしょう。

大藪春彦賞と芥川賞、直木賞との違い

大藪春彦賞は、20回以上を数える文学賞です。国内の文学賞といえば、すぐに思いつくのは「芥川賞」「直木賞」ではないでしょうか。芥川賞は正式には「芥川龍之介賞」と言い、純文学の新人を対象とする文学賞で、1935年から開催されています。

今でこそ話題に上がる芥川賞ですが、創設当初はさほど注目されていませんでした。芥川賞が衆目を集めたのは1955年の受賞作・石原慎太郎による『太陽の季節』(新潮文庫)がきっかけです。以来、芥川賞はメディアが大きく取り上げる文学賞となりました。

直木賞は、正しくは「直木三十五賞」と言い、大衆小説を対象とした文学賞です。芥川賞と共に1935年に創設されました。当初は新人の発掘が名目でしたが、現在は新人・中堅問わず対象になっています。

大藪春彦賞は、純文学でも大衆小説でもなく、推理小説ジャンルの賞として創設されました。このジャンルの賞としては、1948年に第1回が開催された「日本推理作家協会賞」がありますが、芥川賞・直木賞同様に作家の名前を冠した賞は大藪春彦賞が初めてと言えます。

作家の名前を冠した文学賞には1954年創設の「江戸川乱歩賞」もありますが、こちらは公募作品が対象なので、大藪春彦賞とは性質が異なります。

大藪春彦賞の審査員

大藪春彦賞の選考委員(審査員)は、推理小説・ミステリー小説のジャンルでトップクラスの作家が務めています。第1回から現在まで延べ20人の審査員がいますが、その中でも特筆すべき人物を紹介します。

生島治郎

『非情のライセンス』『ゴールドアイ』など、ハードボイルドな作品はテレビドラマ化もされました。若いころには「エラリー・クィーンズ・ミステリーマガジン」の編集長を務めており、このジャンルの第一人者と言えるでしょう。大藪春彦賞の第1回から第5回までの選考委員を務めていました。

大沢在昌

1993年には『新宿鮫 無間人間』(光文社文庫)で直木賞を受賞した大沢在昌は多くのハードボイルド小説を出版しています。子供のころから推理小説・ミステリー小説に傾倒し、生島治郎の大ファンだったことは有名です。

直木賞のほかにもハードボイルド小説で多くの賞を受賞しており、代表作の1つ『新宿鮫』は映画やドラマ、コミカライズもされています。第1~7回まで、そして第14回から現在まで選考委員を務めています。

北方謙三

北方謙三はいわゆる「団塊世代」です。学生運動にも参加していますが、大学在学中の1970年に『明るい街へ』(集英社文庫)で学生デビューしています。
1980年代には『逃がれの街』(集英社文庫)『友よ、静かに瞑れ』(角川文庫)などが映画化されており、ホットドッグプレス誌に連載されたエッセイで一躍有名になりました。第1~7回までの選考委員でした。

馳星周

馳星周は、大藪春彦賞の第1回受賞者です。
デビュー作の『不夜城』(角川文庫)は吉川英治文学新人賞を受賞しています。またこの作品は直木賞の候補作にもなりました。大藪春彦を尊敬していると言われており、ハードボイルドにバイオレンスも加味したノワール小説の旗手として知られています。第12回から現在まで選考委員を務めています。

このほかにも船戸与一、西木正明、夢枕獏、 逢坂剛、志水辰夫、西木正明、真保裕一、今野敏、藤田宜永といったメンバーが選考委員です。