理学療法士のキャリア形成について
理学療法士の仕事は供給過多?
日本理学療法士協会における2016年の調査結果では、養成校を卒業した理学療法士の99.2%が就職できています。しかし、2016年度の理学療法士・作業療法士受給分科会審議会資料によると、2000年度の時点で需要と供給数が均衡しており、資格保有者が年々増加しているため、現在では医療機関での求人は飽和状態に近いのが現状です。
その一方で、これまでとは異なる業務でのニーズが高まっています。例えば、ガンなどの終末期におけるケアが挙げられます。理学療法士が増加する中、時代に合わせた働き方ができるように専門性を身につけることが大切です。
専門性を高める資格を取得する
理学療法士としてキャリアを積む方法の1つとして、専門性を高めるという方法があります。具体的にはダブルライセンスの取得です。理学療法士の業務に関連する資格はいくつもあるので、伸ばしたい専門性を考えてチャレンジしてみましょう。
健康運動指導士
健康運動指導士とは、各個人に合うよう効果的な運動プログラムを作成し、指導することでけがや病気などを予防する人のことを言います。これまでのイメージは、理学療法士がリハビリプログラムを考え、健康運動指導士が患者と一緒に運動を行うものでした。しかし、医療費の削減や生活習慣病の予防を目的とした健康上のニーズが高まってきたため、理学療法士にも運動に関する技術や知識が求められています。
呼吸療法認定士
呼吸療法認定士は、呼吸理学療法や酸素療法、吸入療法の実施とその機器の管理が仕事です。主として看護師が取得することが多い資格ですが、近年では理学療法士の取得も増えてきました。
呼吸療法は肺機能のリハビリと回復が目的で、救急救命センターや人工呼吸サポートチームでは優先的に配属されることが多い重要なポジションです。高齢社会に変わりつつある日本では今後ますます需要が高まる仕事と言えます。
義肢装具士
義肢装具士は事故や病気で失った体の一部を、義手や義足といった義肢を用いて体の機能を復元する仕事です。ものづくりの仕事というイメージが強いかもしれませんが、義肢装具の採寸・調整だけでなく、患者への心理的なケアまで幅広く行います。
理学療法士の資格と合わせて取得しておくと、義肢装具を使用したリハビリの調整まで行うことができ、よりきめ細やかなケアができるようになります。しかしながら、義肢装具士という資格を取得できる学校は非常に少なく、大学では全国に4校、専門学校でも6校しかありません。対人地雷や交通事故などで義肢のニーズが高まりつつある、タイやカンボジアなど海外で活躍できるチャンスもある資格です。
開業も視野に入れる
理学療法士はその大多数が医療現場で働いていますが、新しい働き方を考えるなら開業を視野に入れるのも1つの方法です。例えば、デイサービスなどの介護分野での起業が挙げられます。運営や開業に必要な資金繰り、人材の確保など、理学療法以外の課題も多く大変ではありますが、自身の理想とする理学療法を提供する大きなチャンスにもなります。将来的に独立開業を目指してみてはいかがでしょうか。
終わりに
理学療法士は年々資格取得者が増加しており、医療現場での就職状況は飽和しつつあります。しかし、視野を広げると、運動や教育分野でもチャンスがあることに気づくことでしょう。理学療法士になる方法はいくつかありますが、まずは子供自身がどのようなキャリアを形成したいかを明確にしていく必要があります。将来を見据えた計画が今後の理学療法士として必要な考え方です。
参考
理学療法士になるには|公益社団法人日本理学療法士協会
[安心の設計 みんなで未来へ]人生100年と健康<3>自宅で暮らす選択|読売新聞オンライン
発達障害の子供にスポーツを 兵庫・伊丹に専用フットサルコート「仲間と出会い、人生を豊かに」|産経新聞
理学療法士の求人は飽和状態!?培った知識と技術を活かせる転職について|マイナビ コメディカル
理学療法士(PT)の年収・給料と将来性について|マイナビ コメディカル
理学療法士の1日のスケジュール|医療のお仕事辞典