【AO入試対策:小論文の書き方】接続詞を使いこなそう! - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 2

接続詞は小論文の流れを作る渡し船

空欄に「勝った」と「負けた」のどちらが入るでしょうか?

頑張って練習した。だから、試合に(  A  )。
頑張って練習した。しかし、試合に(  B  )。

(引用元:『文章が劇的にウマくなる「接続詞」 』(ASUKA BUSINESS),P3

答えはすぐに分かったでしょう。Aが「勝った」で、Bが「負けた」です。なぜすぐに答えが分かったのでしょうか? それは、接続詞があるからです。

私たちは、文章を読むとき先を予測しながら読んでいます。接続詞は、文章の中でこれから述べることを予告するウィンカーの役割を果たします。

車を運転している時に、前の車がウィンカーも出さずに突然曲がり、あわててブレーキを踏んだ経験のある方もいるのではないでしょうか? 曲がるときはウィンカーを出し、周りの人にこれから自分が曲がることを予告する、それが運転のマナーです。

文章を書くときも同じです。接続詞を適切に使うことで、次に述べる内容を予告できます。それにより、読んでいる人が心の準備をできるため、文章の内容がすんなりと頭に入ります。

小論文では、与えられた課題に対する「自分の意見」と「そう考える理由」を求められ、論理的な思考に基づいた説得力のある文章が高く評価されます。接続詞を効果的に使うと、小論文の前述の内容と後述の内容をつなぐ「渡し船」の役割を果たし、分かりやすさが格段に増します。同じ内容の文章でも、この「渡し船」が心もとないと、読者が小論文の流れにうまく乗れず、何を言いたいのかが分からない「悪文」となります。

小論文で接続詞を使いこなす方法

では、接続詞を使いこなすにはどうしたらいいのでしょうか。「伝える力【話す・書く】研究所」所長の山口拓郎氏は著書『文章が劇的にウマくなる「接続詞」 』(ASUKA BUSINESS)で「唯一の手段」を明かしています。

ステップ1:さまざまな接続詞の意味を知る
ステップ2:実例を読んでそれぞれの接続詞の使い方を知る
ステップ3:実際に接続詞を使って書く

(引用元:『文章が劇的にウマくなる「接続詞」 』(ASUKA BUSINESS),P25

さまざまな接続詞の意味

ここでは、ステップ1の「接続詞の意味を知る」ことに焦点を当て、小論文で使いたい、または使いやすい接続詞の例をご紹介します。

順接

ですから 英語の「so」に当たります。
したがって 後に結果が続きます。
それゆえ 後に理由が述べられます。
すると 場面転換の効果があります。
そこで 前述のことに対する行動や対応を述べます。

逆説

しかし 前述のことに相反する内容を述べます。
ところが 前述のことから予想できないような内容を述べます。
とはいえ 前述のことを認めながらも、相反する内容や前述の事柄に制限を加える内容を述べます。
にもかかわらず 予測と正反対の結果を述べます。

並列

ならびに・および 英語の「and」に当たります。
また 英語の「and also」に当たります。
かつ 「そのうえ」「同時に」など添加の意味を含む並列です。

添加

さらに・そのうえ 前述のことに後述の内容を付け加えます。
加えて 「さらに」と意味は同じですが、硬い表現です。

選択

または 複数の選択肢のうちどれを選んでもよい場合に使います。
もしくは 複数の選択肢のうちどれかを選ばなくてはならない場合に使います。
あるいは 同類のものの中でどれか1つという意味で使います。

対比

一方 ある事柄について、前述のこととは違った方向から見た内容を述べます。
逆に・反対に 前述のこととは反対のことを対比させるときに使います。

説明

つまり・すなわち 短く言い換えます。計算記号のイコールのような働きをします。「つまり」は要約するときにも使います。
要するに ポイントを要約して伝えます。

補足

なお それまでの話に少し書き添えます。
ただし それまでの話に条件や例外を付け加えます。

転換

さて 本題に入るときに使います。
ところで 話題を変えるときに使います。

接続詞を使った文章作成エクササイズ

小論文と言っても書くことが思い当たらないことがあります。書く題材がなくても書けるようになるために、山口氏が推奨する「接続詞を使った文章作成エクササイズ」を試してみてはいかがでしょうか。

下記の接続詞に合った、続きの文章を書いてください。

夜中に無性にお腹が空いた。
しかし、                      。
それに、                      。
しかも、                      。
だから、                      。
結局、                       。

どんな文章ができましたか? 接続詞に合う内容を考えるだけで、自然と文章が書けたのではないでしょうか? 例えば、山口拓郎氏の文章例は下記のとおりです。

夜中に無性にお腹が空いた。
しかし、いま食べては、せっかくのダイエットが台なしだ。
それに、明日は朝から健康診断だ。
しかも、胃カメラも飲むことになっている。
だから、ここは我慢して寝るしかない。
結局、僕は水だけ飲んで、再びベッドにもぐり込んだ。

(引用元:『文章が劇的にウマくなる「接続詞」 』(ASUKA BUSINESS),P28

以上のように、書きたい内容が思いつかない場合でも、接続詞の先導があると、自分の中にある書くべきものが引き出されてきます。