作文・志望理由書の場合は?
受験の際に作文や志望理由書の提出が必要になることがあります。これらの文書では「です・ます」調と「だ・である」調のどちらの文体を選択すべきでしょうか。
小論文と作文の違い
小論文に求められるのは、自分の意見や考察を筋道立てて論理的に説明する力です。文末は簡潔かつ主観をおさえた「だ・である」調で書くのが原則です。
一方の作文は、文章を組み立てる上での論理的な展開力は小論文と同様に必要とされますが、それに加えて自分の体験やそのときに感じた気持ちを表現する力が問われます。
前述のとおり、「です・ます」調の文体は書き手の気持ちを相手に伝えることに適しているので、作文を書く際に文末を「です・ます」にしても問題ありません。出題内容によっては、「だ・である」調よりも「です・ます」調の方が適していることもあるでしょう。
頭に入れておきたいのは、作文という言葉の持つ意味の広さです。文章を作ることそれ自体を作文と呼ぶこともあるので、出題内容が実質的に小論文であるにも関わらず、試験の名称が「作文」となっているケースもあり得ます。そのような場合には、文末を「だ・である」調にするのが適切です。
「小論文」「作文」といった試験の名称によって自動的に文末の書き方が決まるのではありません。出題内容によって、より適切な文末表現は変わることに注意しましょう。
小論文と志望理由書の違い
推薦入試やAO入試では、多くの学校で志望理由書の提出が必要となります。
志望理由書とは、文字どおりその学校への入学を志望する理由について書くものです。受験生の人柄や適性を見極めることに主眼の置かれた文章なので、自分自身の体験を言葉にして表現することを求められます。
小論文とは異なり、志望理由書は自己アピールの意味合いを持ちます。書き手と読み手の関係性が明白なので、文末は相手への敬意を示すことができ、読み手にていねいな印象を与える「です・ます」調で書くのが一般的です。
「だ・である」調で志望理由書を書いても構いませんが、その場合には読み手に上から目線の印象を与える可能性に留意しましょう。一方で、自分に自信があると受け取られ、内容次第ではほかの受験者と差別化できるとも考えられます。どちらの文体を選択するかは、受験する学校の校風などから判断しても良いでしょう。
終わりに
冒頭でも述べたとおり、日本語は文末表現によって読み手に与える印象が変わってきます。文章に応じて使い分けられるように「です・ます」調、「だ・である」調のどちらも書けるようにしておけば安心です。
練習で小論文などを書く際には、第三者に読んでもらいフィードバックを受けることをおすすめします。独りよがりでない文章を書くためにも、他者の目をとおすことは大切です。子供の小論文や作文を添削する際には、当記事で紹介した「です・ます」と「だ・である」の使い分け、文末の統一といった基本ルールを踏まえつつ、第三者の視点で読むことを意識してみてください。
参考
大学生の文体混用についての一考察|四天王寺大学紀要
「形容詞+です」述語の生起要因についての準備的考察|国立国語研究所
小学校学習指導要領|文部科学省
高校入試の作文・小論文 書き方と7つの基本ルール|AllAbout
「です・ます」と「だ・である」の使い分け方は?小論文ではどちらを使う?|小論塾
【中学受験の作文対策】書き方や評価ポイントを専門家が伝授!|中学受験情報局『かしこい塾の使い方』
小論文って何?作文との違いを知る|Benesse マナビジョン
入試情報 志望理由書|Benesse マナビジョン