大学院を修了して就職するメリット
大卒ではなく、大学院卒として企業などに就職すると、学生にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
基本給が高い場合がある
就職先にもよりますが、大学院卒として就職した場合、基本給が大卒よりも高い場合があります。厚生労働省の公表する「平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」によると、学歴別の初任給は下記のとおりとなっています。
男女計
大学院修士課程修了 238.7千円
大学卒 206.7千円
高専・短大卒 181.4千円
高校卒 165.1千円
(参照元:平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給|厚生労働省)
大学院の修士課程を修了している人の方が約30万円も初任給が高いのです。就職先によっては大卒と初任給が同じ場合もありますが、同じ企業に新卒として入社したとしても大学院卒だと給与が高い可能性もあるのです。
研究職に就ける可能性が高くなる
企業や公的な研究所などでの研究職を目指している人は、大学院へ進学した方が就職できる可能性が高くなるでしょう。文部科学省が平成29年度に発表した「民間企業の研究活動に関する調査」のによると、企業や研究機関が2016年度に採用した研究開発者の数とその学歴等の内訳は以下のとおりとなります。
採用した研究開発者数 平均6.8人
うち、学士号取得者数 平均1.8人
うち、修士号取得者数 平均4.1 人
(参照元:民間企業の研究活動に関する調査|e-Stat)
修士号を持っていた方が、研究職として採用されている平均人数が多いのです。また同じ研究職でも、企業の研究部門は学士号や修士号の採用が多く、公的研究機関や大学で研究者として活躍するには、さらに上の博士号が必要となります。どういった場所で研究職として働きたいかにもよりますが、大学院を出ている方が研究職として仕事に就ける可能性は高くなります。
推薦応募ができる場合もある
理系の大学院生の場合、企業から「〇〇学部△△学科で▲▲を専攻している大学院生が〇名ほしい」と要望が届くことがあります。学部などの単位で希望する学生を募りますが、その際に大学院生が優先される場合もあります。
一般応募と推薦応募を比較すると、推薦の方が「面接のみ」など試験が簡単なことが多いです。また推薦だと大学院のお墨付きがあるため、内定をもらいやすいと言われています。全国大学生活協同組合連合会が実施した「全国大学生協連の研究会報告」によると、2016年度に従業員500人以上の大企業へ就職した大学院生の就職率は、大学生よりも約10%高いという結果となり、推薦で内定が決まった大学院生の率は大学生の約3倍だったそうです。