薬学部に留年率増加の理由は?
それでは、薬学部の留年率増加の原因について見ていきましょう。
基礎学力の不足
薬学部で留年する学生が増えている1番の原因は、薬学部の増設により、学力の高い人材の確保が困難になったためです。少子化で学生確保競争が激しくなり、受験生に人気の学部である薬学部を開設する大学が急増。その結果、大学が入学者の質を下げてでも定員の学生数を確保しようとし、学力の確認が軽視されていると指摘されています。
また、入学者の質の低下は国家試験合格率に関係しているデータもあります。文部科学省が発表した「平成26年度 質の高い入学者の確保と教育の質の向上に向けてのフォローアップ状況」によると、一般的に、入試の実質競争倍率が高い大学は卒業率および合格率が高い傾向にあり、入試の実質競争倍率が低い大学は卒業率、国家試験合格率ともに低い傾向にあるということでした。
授業についていけない
大学によって違いますが、薬学部のカリキュラムは態度教育、技能教育、知識教育という3つの柱で構成されており、学習到達目標を達成するために1,446項目をクリアしなければならず、他の学部と比べかなり厳しいカリキュラムと言われています。また、ほとんどの大学の薬学部は朝から夕方までぎっしり講義や実習があることが多く、苦痛に感じて授業を休んでしまう学生もいるようです。授業についていけず、留年したり自主退学したりする学生も少なくありません。
試験の対策不足
薬学部は、暗記するべき分量がかなり多く、定期試験の難易度はかなり高いことで知られています。満足な点数が取れないという学生も多くいるのが現状です。また、定期試験の他にも、5年次からの実務実習に参加するための条件となる共用試験、卒業するための卒業試験があり、勉強・対策不足で合格できず、進級・卒業できない要因となっています。