2010年代の受賞作家と代表作を紹介!
川端康成や大江健三郎氏はもちろん、過去のノーベル賞受賞作家の作品には現代にまで読み継がれているものがたくさんあります。しかし、21世紀の受賞作家は名前を知っていても読んだことがなかったり、そもそも全く知らない作家だったりするのではないでしょうか。言語も国籍もさまざまな受賞作家と作品をご紹介します。
2010年:マリオ・バルガス=リョサ
マリオ・バルガス=リョサはペルー出身の作家です。新潮社の著者紹介ページによると、「権力の構造の見取り図を描き、個人の抵抗、反乱、敗北の姿を鋭く表現した」と評価されて受賞しています。『世界終末戦争』のほか、複数の翻訳が日本でも出版されています。
2011年:トーマス・トランストロンメル
トーマス・トランストロンメルはスウェーデン出身の詩人です。60歳ごろに脳卒中で倒れ、身体が不自由な中でも創作活動を続けてノーベル文学賞を受賞しました。日本語で出版されているのは代表作『悲しみのゴンドラ』のみとなっています。
2012年:莫言
莫言は中国出身の作家です。代表作『赤い高粱』は映画化もされています。監督は、映画『HERO』のチャン・イーモウです。
2013年:アリス・マンロー
カナダ出身のアリス・マンローは、カナダ人として初のノーベル文学賞受賞者となりました。新潮社の著者紹介ページでは、「チェーホフの正統な後継者、『短篇小説の女王』」と紹介されています。初の短編集『ピアノ・レッスン』のほか多数の翻訳が出版されています。
2014年:パトリック・モディアノ
パトリック・モディアノは、現代フランスを代表する人気作家です。ミステリアスな世界観を得意とし、邦訳も多数出版されています。洗練された装丁と邦題が親しみやすく、気負いなく挑戦できる作家なのではないでしょうか。
2015年:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ
現在のウクライナに生まれ、ベラルーシに移住したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチは、ジャーナリストとして初めてのノーベル文学賞受賞作家となりました。日本では『チェルノブイリの祈り』がよく読まれています。
2016年:ボブ・ディラン
ボブ・ディランはミュージシャンとして初めてのノーベル文学賞受賞となったため、日本でも大きな話題となりました。「本人と連絡が取れない」などといったエピソードも豊富でしたが、最終的には受賞のスピーチをして賞金を受け取っています。スピーチでは、自身の作品はあくまでも歌として聴いてほしいとメッセージを送っています。
歌と文学は違う。歌は読まれるのではなく、歌われることを意図してつくられている。シェイクスピアの言葉はステージで演じられることを意図されている。それはちょうど歌が、ページの上で読まれることではなく歌われることを想定しているのと同じように。
歌を意図されたままに聴いてみてほしい。コンサートでもレコードでも、人々が歌を聴く時に最近使う方法でも、どんな手段でもいいから。
(引用元:ボブ・ディラン、やっとノーベル賞の受賞講演「でも、歌と文学は違う」 | ハフポスト)
2017年:カズオ・イシグロ
2018年現在最新の受賞者となるカズオ・イシグロは、日本出身のイギリス人作家です。『日の名残り』や『わたしを離さないで』等、受賞前から邦訳も多数出版され、ドラマ化された作品もあります。
まとめ
ノーベルの残した基準を解釈しながら受賞者を決定してきたノーベル文学賞。選考過程には時代や政治的な影響が全くないとは言い切れませんが、今でも世界で最も有名な文学賞と呼んで過言ではないでしょう。
さまざまなバックグラウンドや表現方法を持つ作家が受賞していますので、作品を読むことで世界が広がるはずです。将来的に、子供が成長したら勧めたい作品も見つかるかもしれません。
参考
死の商人から平和の象徴へ、「ノーベル賞」創設秘話 写真1枚 国際ニュース | AFPBB News
スウェーデン・アカデミー | Wikipedia
ノーベル文学賞 | Wikipedia
大江健三郎 | 著者プロフィール | 新潮社
ノーベル文学賞の選考基準について : なぜ川端康成が選ばれたか(子午線) | J-STAGE
ノーベル文学賞はなぜ村上春樹に与えられないのか | IRONNA
ノーベル文学賞を受賞されたトーマス・トランストロンメル氏の著書『悲しみのゴンドラ』 | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店
血が滴る傑作 ノーベル文学賞の莫言の小説を読んでみた。 | チェコ好きの日記
2014年ノーベル文学賞はフランス人作家・パトリック・モディアノが授賞!|アイテム|HMV&BOOKS online
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ特集 | 岩波書店
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ | Wikipedia
【ノーベル賞】文学賞は日系英国人のカズオ・イシグロ氏に(1/2ページ) | 産経ニュース