法的救済（債務整理）
救済制度の利用ができない場合は、法的救済（債務整理）を検討することが必要になります。債務整理には大きく3つの方法があります。ただし、連帯保証人がいる場合には注意が必要です。本人と連絡が取れない場合や、返済の意思（能力）がないとみなされた場合は、連帯保証人に連絡が行きます。滞納が続く場合は、連帯保証人に返済義務が生ずるという内容を伝えます。法的処理を行って返済義務を免れたとしても、それと同時に連帯保証人に返済の義務が生ずることを忘れてはいけません。債務整理は、基本的に個人でも申請は可能ですが、業者との交渉などがあるため、専門家（弁護士や行政書士）に依頼するケースがほとんどです。
任意整理
任意整理とは、業者と返済額や返済方法を交渉した上で、双方が合意した金額を返済していく方法です。任意整理のメリットは、交渉する業者を選べることです。
- 奨学金以外にも借金があり、その他の借金を減額することで、奨学金の支払いを継続できる人。
- 奨学金の返済が困難で、滞納により減額返還制度や返還期限猶予制度が利用できない人。
に適した制度です。
個人再生
個人再生は、借金の金額を大幅に圧縮して、返済を継続していく制度です。返済額が減るというメリットがありますが、交渉する業者を選べないこと、裁判所が介入するため時間と費用がかかることが挙げられます。住宅ローンに関しては特例が定められており、
- 住宅を所有していて手放したくない人
- 任意整理では支払いが困難な人
に適した制度です。
自己破産
自己破産は、借金の返済が事実上困難な人が最終的にとる方法です。免責を受けることができれば、借金はゼロになり、返済をしなくても良いということになります。ただし、免責が決定するかどうかは生活状況や借金の理由などにより、裁判所が決定するので、必ずゼロになるという保証はありません。
- 財産のすべてを処分してもなお借金が返済できない人
- 借金の返済の目途が全く立たない人
が選択する制度ではありますが、自己破産によるデメリットも多くあるため、慎重に検討する必要があります。
1ヶ月でも滞納し始めたらまずは相談を！
奨学金を滞納してしまった場合に一番してはいけないこと、それは連絡を無視することです。病気やケガで働けない・定職に就けていない・給料だけでは返済が追い付かないなど、さまざまな事情から返済が困難になることは十分あり得ます。仮に1ヶ月滞納しても、次の月にまとめて返済が可能であれば問題ありませんが、長期的な理由で返済が困難な場合は、まず該当機関に相談をすることが大切です。場合によっては軽減措置を取ってくれることもあります。奨学金は借金と同じです。これからの人生を台無しにしないためにも、返済には真摯に向き合い、不可能である場合は必ず申し出を行ってください。
参考
参考資料4 奨学金事業関係資料｜文部科学省
平成28年度奨学金の返還者に関する属性調査結果｜日本学生支援機構
返還期限猶予｜日本学生支援機構
返還が難しいとき
奨学金を滞納すると、本当に裁判や差し押さえになるの？｜債務整理ジャーナル
奨学金が返せない、返還できない…債務整理で解決する方法｜債務整理ジャーナル
