レポートで引用はどうやってすればいいの?実例や資料ごとの引用方法 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)


Warning: Undefined variable $beforeIndex in /home/sekaisha/cocoiro.me/public_html/wp-content/themes/cocoirocareer/functions.php on line 1003

遅くても大学生、早いと高校生くらいから課題として出されるレポート。「他の本を読んで引用すること」という要件を課されることも少なくありません。しかし「うちの子は引用のやり方について分かっていないのでは?」と書き上がったものを見て不安に思う親御さんもいるかもしれません。引用とはそもそも何でしょうか。どうやったら引用と認められるのでしょうか。さまざまな例を見ながら、引用の方法を紹介します。

引用の実例を見てみよう

子供に「引用」を言葉で説明しようとすると意外と難しく感じるのではないでしょうか。実例を見せて、「こういうのが引用だよ!」と言った方が伝わりやすいことも少なくありません。ここでは学術的な文章で引用がどのように行われているか、代表的な例を2つ見てみましょう。

かぎかっこでくくり、脚注に出典を明記する

地の文に交ぜながら引用をするときによく用いられる手法です。「〜だからである。なぜならば○○が『××××』と言っているからである。」というような流れで使われます。実例を見てみましょう。

エリック・ホブズボームはこう宣言している。「マルクス主義運動と国家は、形式的にも実質的にも、国民的、つまり国民主義的となってきた。この傾向が将来、消滅するであろうことを示す兆候はなにもない。」全くその通り。(3)

(引用元:ベネディクト・アンダーソン(1997)『想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』(NTT出版)p.19-20)

文末の(3)が脚注となっています。この本の各章の終わりにある脚注にはこのように出典が明記されています。

(3) Eric Hobsbawm, “Some Reflections on ‘The Break-up of Britain ‘, “ New Left Review, 105 (September – October 1977), p.13.

(引用元:ベネディクト・アンダーソン(1997)『想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』(NTT出版)p.27)

地の文と区別し、文末に出典を明記する

「民主的な政治が最も住民の関心を引き、庶民の中から有能な人材を集めてきたのはスイスとアメリカ合衆国であり、特に農村地方自治が最も発達してきた北部と西部の初秋であることを観察すれば十分である。これらの事例は、地方自治の実践こそ民主政治の最良の学校であり、その成功の最良の保証人であるという格言が正しいことを示している。」

James Bryce, Modern Democracies, 1921;

ジェームズ・ブライス『近代民主政』、1921年

(引用元:小滝俊之(2004)『アメリカの地方自治』(第一法規)p.1)

長い引用文や特に強く印象を与えたい文章では、地の文から改行を挟んで用いることがあります。地の文の文脈からはいったん離れていることや「誰が発言したのか」を強調したいことが多いため、引用元を直後に明記することが多いようです。

ただし学術的な文章でこのやり方が用いられるのは多くありません。引用元をいちいち挟むと文章が途切れ途切れになり、読みにくくなるためです。読みやすさを重視するのであれば出典は脚注としてまとめることをおすすめします。

そもそも引用とは

引用とは「他の人の文章を自分の書いている文章で紹介すること」だということが分かりました。それではいわゆる「転載」とはどう違うのでしょうか。引用するには何か特別な承諾が必要なのでしょうか。

著作物からそのまま文章を掲載すること

引用とは他人の著作物を自分の著作物の中でそのまま使用することです。引用は著作権法上認められている合法的な利用です。引用の要件を満たす限り、著作権者に引用のための了解を取る必要はありません。

引用の要件については、文化庁は著作権法の条文をそのまま紹介しています。

[1]公正な慣行に合致すること,引用の目的上,正当な範囲内で行われることを条件とし,自分の著作物に他人の著作物を引用して利用することができる。同様の目的であれば,翻訳もできる。

(引用元:著作物が自由に使える場合 | 文化庁

引用をする際には「公正な慣行に合致」する必要があり、「正当な範囲内で行われる」ことも求められるとあります。これらはいったい、どういうことなのでしょうか。

著作権法は非常に難解な法律として知られており、解釈は判例に委ねられている部分が多くあります。引用についても同様で、さまざまな条件が判例に基づいて確立してきました。現在最低限必要だと言われている条件を次項から解説していきます。

参考

著作権法  国内法令 著作権データベース | 公益社団法人著作権情報センター CRIC

著作権法って難しいよねえ | 理系弁護土の何でもノート

著作権なるほど質問箱 | 文化庁

地の文と明確に区別する必要がある

先ほど例として書いた簡単な文章について考えてみましょう。「〜だからである。なぜならば○○が『××××』と言っているからである」というものです。

これを例えば「〜だからである。なぜならば○○が××××と言っているからである」と書くとします。こうすると「どこからどこまでが○○の発言なのか」が不明瞭になります。

引用ではこれを避けなければなりません。つまり筆者の文章と、引用した文章が視覚的に区別されている必要があるのです。区別するのはかぎかっこを用いてもいいですし、改行でも構いません。筆者によっては、改行に加えて段落を下げる方法を取る人もいます。

出典を明記する

また「本当に○○がそれを言ったのか」を読者が確認できることも大切です。出典の書き方についてはさまざまな考え方があり、著者によっても出典の書き方が異なります。先ほど引用した2冊からもう一度出典だけ取り出してみましょう。

(3) Eric Hobsbawm, “Some Reflections on ‘The Break-up of Britain ‘, “ New Left Review, 105 (September – October 1977), p.13.

(引用元:ベネディクト・アンダーソン(1997)『想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行』(NTT出版) p.27)

こちらは前から順に「著者、論文名、掲載誌、巻号(出版年)、ページ数」となっています。

James Bryce, Modern Democracies, 1921;

ジェームズ・ブライス『近代民主政』、1921年

(引用元:小滝俊之(2004)『アメリカの地方自治』(第一法規) p.1)

こちらは非常に簡素な出典表記で「著者、書名、出版年」となっています。これはエピグラフ的に短く引用されているものなので、正確性よりも印象づけを重視した書き方となっていると言えます。

実際にレポートで引用するときには、最低限以下の情報を掲載しておくのが望ましいでしょう。

  • 著者名
  • 書籍名
  • ページ数
  • 出版社
  • 出版年

これらに加え、訳者・監修者がいる場合はその氏名、書籍のISBNなども掲載するのが望ましいとする人もいます。また、書籍以外のものから引用を行う場合にはルールが異なります。これらについてはまた後ほど解説していきます。

参考

18.引用・参考文献の出典の書き方 | 清泉女子大学