【高校生のネタ一覧】歴史や法整備などに目を向けてみよう
高校生の場合は、世界各地で起こっている人権問題をテーマに選んでみましょう。そして、人権問題にまつわる歴史や背景、それにともなって整備された法律、それでも改善されない問題、のように順番に紐解いてみましょう。最後に、今後必要と思われる取り組みを自分の言葉で伝えることが肝要です。
それでは、おすすめのテーマをご紹介します。
患者への偏見や差別
感染する可能性のある病気の患者に対しては、特に強い偏見・差別があります。例えばHIVやハンセン病、ウイルス性肝炎などがあります。現在はどれも治療が可能ですが、歴史的に誤った知識が浸透してしまったがゆえに、未だに患者や元患者に対する偏見や差別が解消されていません。
患者への差別は、感染しない病気や原因不明の病気に関しても同様に起こっています。水俣病、川崎病、癌、認知症などさまざまな病気に対して差別があり、完治してもうまく社会復帰できないという問題もあります。
人が死や後遺症の残る病気に恐怖を抱くのは当然です。しかし、正しい知識を持てばその恐怖を和らげ、患者や元患者を受け入れることはできるはずです。では、どうすれば病気の知識を広め、偏見や差別をなくすことができるのでしょう。
患者を保護するためのさまざまな活動を行う団体の啓蒙活動に触れ、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
障害者への虐待や精神疾患者への偏見や差別
本来、擁護すべき人たちから、身体的・性的・心理的・経済的虐待を受けている障害者の人がいます。心身の障害によって生活に制限がある障害者であっても、人権まで制限されることは決して許されることではありません。障害者の人として幸せに生きる権利を守るためにできることは何でしょうか。
また、表面的に障害のあることが分からない発達障害や統合失調症、うつ病などの神経疾患のある人も、周囲に告白すると偏見や差別を受けることがあります。周囲が正しい理解を示し受け入れることは、こうした人々にとって大きな支えになるのですが、現実はいわれのない中傷を受けて生活基盤を築けない事例も多々見られます。
障害者虐待や精神疾患者への偏見や差別をなくすには、具体的にどのような支援をすれば良いのかを考えてみましょう。
人種差別~同和問題やアイヌの人々への差別
「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
(引用元:あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 第1部 第1条|外務省)
普段日本の中では感じにくい人種差別。しかし、日本国内にもアイヌ民族への差別や同和問題という、歴史的過程で作られた身分差別があるのをご存じでしょうか。なぜ同じ日本人なのに出身の違いで虐げられるようになったのでしょう。
また、国際化が進む現代において、日本国内でも外国人やハーフの人は増えており、それにともなう人種差別が深刻になっています。同じ人であるのに、見た目や文化が違うとなぜ人は差別してしまうのでしょう。国際交流のためにも、人種差別を防止する解決策を考えてみましょう。
戦争による人権侵害
戦争は人が幸せに生きる権利を奪う、最大の人道侵害です。日本で生活していると実感が湧かないかもしれませんが、アフガニスタン紛争、シリア内戦、クルド対トルコ紛争、リビア内戦、イエメン内戦など、今なお戦争が行われている地域があります。
なぜ戦争はなくならないのでしょうか。そして戦争に巻き込まれた一般市民はどのような被害を受けているのでしょうか。
また、戦争による人権侵害は未だに日本でもくすぶっています。1945年に終戦した第二次世界大戦後、戦争被害に対する調査や一般市民の基本的人権擁護が不十分であったと日本弁護士連合会は述べています。
戦争を経験した昭和を生きた人々は、令和の時代になりますます少なくなってきました。将来二度と同じ過ちを繰り返さないよう、戦争経験者の講演を聞くなどして、戦争による人権侵害を見つめ直してみてはいかがでしょう。
刑を終えて出所した人への差別
罪を犯したことは、刑を終えたからといって完全に償えたとは言えないでしょう。しかし、刑を終えて出所した人を差別し就労や住居確保の機会を奪うと、再び罪を犯す可能性が高くなってしまいます。
犯罪をなくし、安全安心に暮らせる社会を実現するためには、刑を終えて出所した人が孤立せずに社会の一員に戻れる支援を、地域住民の理解を得て行わなければなりません。
では、刑を終えて出所した人にはどのような支援を行えば良いのでしょう。そして、地域住民の根強い偏見や悪意を軽減するにはどうすれば良いのでしょうか。さまざまな自治体の取り組みから、解決策を考えてみましょう。
犯罪被害者とその家族への中傷や差別
犯罪被害者やその家族は、加害者が刑に処せられたからといって、犯罪によって受けた精神的肉体的苦痛がなくなるわけではありません。しかし、周囲の人はそうしたことへの理解が十分とは言えず、興味本位な噂や心ない中傷によって、犯罪被害者とその家族の名誉を傷つけ心的ストレスを与える事例が後を絶ちません。
国や行政は懸命な啓蒙活動だけでなく、犯罪被害者を保護するための法律も整備しています。しかし、本来は法律で裁かずとも、一人ひとりが被害にあわれた方の心情を思えば良いはずなのです。犯罪被害者とその家族が周囲からの二次的人権侵害を受けないようにするためにはどうすれば良いのか考えてみましょう。
まとめ
本文中で取り上げたたいくつかのテーマについての具体的な事例は、下記の参考サイトで詳しく紹介されています。人権作文のテーマを決める際のヒントになるかもしれませんので、ぜひご覧になってください。
また、ご紹介した人権侵害のほかに、国はホームレスに対する人権侵害、北朝鮮当局によって拉致された被害者、人権を無視した人身取引(トラフィッキング)など、歴史的に対応が難しい問題についても言及しています。これらのテーマについて作文を書かれる方は専門書を読まれることをおすすめします。
人権作文のテーマは身近にあります。大切なのは、それが人権侵害だと気がつく心が育っているかどうかなのです。その気づきを得るために必要なのは、常に相手の立場に立って考えることです。
相手の気持ちが分かるようになるには、物事の一つひとつに対して湧きおこる自分の感情を読み解き、相手の立場に置き換える経験を積み重ねていくことが必要です。
参考
人権作文のテーマで書きやすい例の一覧!中学生・高校生・小学生向け題材を紹介!|開運net
人権作文で使いたいテーマ一覧!書きやすい題材やネタの内容を紹介|知れわた!
簡単に書ける!人権作文の書き方のコツ・例|年代別/テーマ別|Tap-biz
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人権作文を応募いただく生徒の皆さんへ~人権作文の書き方~|法務省人権擁護局
【人権作文の書き方】「実体験がない」人のためのネタ集めのポイント|NAVERまとめ
第38回全国中学生人権作文コンテスト入賞作文集|法務賞人権擁護局・全国人権擁護委員会
日韓ユース ・ カンファレンス 2018 私の人権のはなし -私たちにとって 「美しさ」 とは何か?-|日本YMCA、P8
第3章 体罰、不適切な行為の防止 4 体罰の定義|東京都教育委員会、P38
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 第1部 第1条|外務省