取りかかりやすい、おすすめの人権作文のテーマ
人権作文のテーマには、いじめやジェンダーなどさまざまなジャンルがあります。自分にとって身近な人権問題をテーマに選んでおくと、本文の筆が進むだけでなく、題名もスムーズに思いつくでしょう。
この章では、人権作文の題名をつけやすい、おすすめのテーマについてご紹介していきます。
いじめ問題
いじめは、今も昔も解決が難しい問題として取り上げられています。毎年実施されている法務省管轄の全国中学生人権作文コンテストも、「いじめ」をテーマにした人権作文の割合が最も多いです。
ひと昔前は、人前で相手を批判し、暴力を振るということがいじめの定番でした。しかし今日では、LINEなどのSNSやインターネットを通したいじめ被害も多数報告されています。
このように、いじめ問題は身近な人権問題として位置づけられているので、作文のテーマとしても書きやすいでしょう。
参考
障がい者問題
障がい者問題は、いじめ問題と同様、長年続いている人権問題の一つです。目が見えない、耳が聞こえない、生活する上で車いすが手放せない……など、周囲の協力がないと生活が難しい人に対し、ネガティブな対応をする人も少なからずいます。
人権作文として障がい者問題を取り上げるなら、障がいの有無にかかわらず、「自分らしく生きる」ことができるようなメッセージ性を含んだ本文と題名にすると、読み手を強く惹きつけることができるかもしれません。
ジェンダー問題
2019年12月に発表された「ジェンダー・ギャップ指数」に関しては、前年(2018年)の110位から順位が下がり、153ヶ国中121位という結果でした。この結果から分かるように、日本は男女格差の改善を中心としたジェンダー問題の解決に遅れをとっています。
近年の日本におけるジェンダー問題の代表的な事例は、医科大の受験において、女子受験者を意図的に減点していたり、繰り上げ合格でも女子より男子を優先したことが挙げられます。
ジェンダー問題に関しては、日本でも著名なジャーナリストなどが触れている注目の分野です。作文を書く側にとっても決して他人事ではない問題なので、人権作文のテーマとして検討してみても良いでしょう。
参考
2019年「ジェンダー・ギャップ指数」日本が110位から121位へ(153カ国中) |ジョイセフ
環境問題
人権に紐づけられる環境問題は、主に水俣病や四日市ぜんそくなど、工場の排気や排水によって罹患した公害が挙げられます。罹患した人たちは、手足や呼吸器に障がいが残ったことで差別を受け、「当たり前の日常」を奪われたという事実があります。
公害に紐づけられる環境問題は、小学校の社会科でも触れる範囲です。すでに知識として頭に入っている人も多いので、人権作文のテーマとして取り組みやすい分野の一つでしょう。
高齢者問題
今の日本では、毎年高齢者の数が増えています。「高齢者×人権」として触れるなら、孤独死問題の観点から掘り下げていくと取り組みやすいでしょう。
作文では、孤独死を未然に防ぐケアに触れたり、高齢者向けのサービスについて提案したりすると、読み手の共感を得やすくなるかもしれません。
「人権」をテーマにした書き方のポイント
こちらの章では、人権作文の書き方のポイントについてご紹介します。
冒頭:自分および身近な人のエピソードを書く
人権をテーマにした作文は、冒頭部分に自分や身近な人のエピソードを書きましょう。文中にこれから触れていく人権問題について分かるようなワードを入れておくと、読み手にもインパクトを与えます。
例文は、以下のとおりです。
私のお母さんは、高齢者介護の仕事をしています。私はお母さんの仕事から影響を受け日頃から、高齢者の方々とはどのように接すればいいのか疑問に思っていました。
(引用元:【特選】高齢者の人への接し方|大玉村)
僕は,生まれつき脳性まひという病気のため,車いすで生活している。車いす生活では不便なことが多いのだが,時々,温かい気持ちになることがある。
(引用元:参考1 主な入賞作品| 法務省)
本文:問題提起と自分の調査内容を書く
人権作文には、冒頭のあとに「今の日本では〇〇の部分が問題となっている」といったニュアンスで、問題提起が分かるような文章が必要となります。問題提起する文を入れないと、文中のメリハリがなくなり、訴えていることが読み手に届きにくくなります。
加えて、自分が掲げるテーマに沿った調査も入念に行い、その調査結果を文中に入れることでより説得力のある作文となります。
最後:解決策を書く
人権作文の最後には、先に触れた問題提起と調査内容に基づいた解決策を自分の考えとして述べる流れになります。社会と未来へ向けたメッセージ性のある内容に仕上げることを意識しましょう。