
人権作文の基本的な構成
人権作文で最も大切なことは、「共感してもらう」「最後まで離脱せず読んでもらう」ことです。
まずは、自分がこれまで見聞きしたことを振り返って具体的なテーマを選び、内容を詳しく書きましょう。
次に、掲げたテーマに基づいて自分が考えたり思ったりしたことをまとめ、理由を挙げます。その際は相手の心に響く、説得力のある表現方法を考えてまとめるのがポイントです。最後に自分の意見を提示し、次の行動につなげるためにやるべきことも書き出します。
人権作文で行き詰まったときの打開策
作文を書いていると、執筆が進まなくなり行き詰まってしまうということもよくあります。
人権作文に関しても例外ではありません。
こちらの章では、その打開策について紹介していきましょう。
実体験がなければ身近な大人に尋ねる
ひと口に人権問題といっても、いじめ・性差別・国籍・震災などさまざまです。実体験がなければ、構成案の作成も執筆も進みにくいのは言うまでもありません。
特に戦争に関する人権問題となると、戦争を体験したことがない人はイメージをつかみにくいでしょう。その場合は、戦争を経験した方(※1940年以前生まれの年齢層が望ましい)に話を聞き、内容をまとめていきましょう。
祖父母が戦争のことを覚えているのであれば、直接聞いてみるのもおすすめです。
また、会社でのパワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどの問題も人権問題の一つとして含まれます。その場合は、親など身近な大人に実情を聞いてみるのも良いかもしれません。
テーマに沿った関連情報を本やネットで調べる
今の時代、人権問題に関する情報は多数あり、関連書籍もたくさんリリースされています。また、ネットで検索をすれば求めている情報をすぐに見つけることができます。
あらゆる角度から調べることで人権に関する知識も深くなり、より説得力のある文章に仕上がるかもしれません。
表現が乏しければ比喩表現を活用する
作文は得手不得手があり、表現力が乏しい人も少なからずいます。
表現が稚拙かつワンパターンになりがちなら、何かに置き換えて表現するのも良いでしょう。文章自体にもメリハリが出て、オリジナリティのある文章に仕上がります。
以下、例文です。
例文
- 比喩なし:女性に関する人権問題が、この数年で取り上げられている。
- 比喩あり:女性に関する人権問題が、この数年でついたり消えたりするように取り上げられている。
『全国中学生人権作文コンテスト』をはじめとする人権に関する作文コンテストのサイトでは、入賞作品を閲覧できます。実際の作品を熟読し、どのような表現を使っているのか研究するのもおすすめです。
参考
「人権」をテーマにしたおすすめ書籍
「人権」をテーマにした作文を書くときにおすすめしたいのが、関連書籍を読み、知識を深めることです。こちらの章では「人権」をテーマにした書籍を紹介します。
突然、僕は殺人犯にされた/竹書房文庫/スマイリーキクチ(著)
お笑い芸人のスマイリーキクチ氏が自身の出身地で起きた身に覚えのない事件について「殺人犯」と有名サイトに書き込まれ、以降10年以上にもわたる誹謗中傷と戦った実体験をまとめた著書です。人権侵害の問題にも絡む内容となっているので、人権について深く知りたいという人におすすめです。
現在スマイリーキクチ氏は、テレビ・自身のブログ・全国の講演会でネット犯罪の恐ろしさを軸とした人権啓蒙の普及活動に取り組んでいます。
スマイリーキクチ公式ブログ
スマイリーキクチ オフィシャルブログ『どうもありがとう』 powered by アメーバブログ
女性・人権・生きること:過去を知り 未来をひらく /学文社/天童睦子(著)
「女性×人権」について、働き方や性支配の問題など、女性に関わる人権問題を分かりやすく綴った著書です。ほかに現代社会に潜んでいる男女の不公平についても解説しているのが特徴です。「ジェンダー×人権」をテーマに作文を書こうとしている人におすすめです。
Black Box/文藝春秋/伊藤詩織(著)
元TBS記者による「性的暴行」事件の被害者であり、裁判で「勝訴」を手に入れたジャーナリスト伊藤詩織氏の著書です。当時の事件の様子や自身の思いだけでなく、司法のあり方や社会の受け入れ態勢など、社会全体の女性にまつわる人権問題に関して「何を変えるべきか」という問題定義も含んだ内容です。
この事件と著者のSNS投稿の影響により、女性の人権をあらためて考え直すきっかけとなっています。「女性×人権」をテーマに作文を書きたいという方におすすめの著書です。