「旧制度」の幼稚園は自治体ごとに運用
「新制度」に移行していない「旧制度」の幼稚園については、自治体ごとに運用が異なります。ケース別に見ていきましょう。
補助金として支給する自治体
旧制度の幼稚園も国の無償化の対象となっています。ただし、月額25,700円までという上限額が定められています。月額25,700円以下の授業料を取る幼稚園であれば完全無償化という印象を受けますが、それ以上の園では差額を保護者が支払わなければなりません。
自治体によっては差額分の負担を軽減するために各家庭に向けて補助金を支給しているところもあります。一例としては、墨田区は家庭の所得に応じて6段階に分かれた補助金制度を実施しています。
参考
幼稚園等の幼児教育・保育の無償化について | 墨田区公式ウェブサイト
無償化事業の差額分だけ徴収する自治体
旧制度の幼稚園に対する補助金を出している自治体はあまり多くないようです。ほとんどの自治体では国が定めた月額25,700円までを無償化の範囲内とし、差額分は各幼稚園が家庭から徴収するようにしています。
このような中で授業料の値上げも話題になっています。
10月から保育料を月2千円余り値上げする。9月に保護者説明会が開かれたが、その場で園職員は開口一番こう言ったという。「皆さんいいですね、こんな子育て支援(無償化)があって。私の時はなかったからうらやましいわ」
確かに、値上げ幅は無償となる額の範囲内で、トータルの負担額は安くなる。園の理事長は最後に「値上げ分は、施設整備や職員の処遇改善にあてます」と使い道を説明。質問は特に出なかったという。
(引用元:幼保無償化で便乗値上げ? 園長に直撃、漏らした本音 | 朝日新聞デジタル)
幼稚園や保育園の給与が安い、待遇が悪いというのはしばらく前から問題になっていました。国の無償化に伴い保護者の負担額が減ることから、経営を健全化するために値上げに踏み切った園は少なくないようです。
このような事情もあって旧制度園で完全無償化が実現されているケースはあまり期待できなそうです。「幼稚園がかなり安くなった」という気持ちでいた方がストレスが少ないでしょう。なお、旧制度園でも給食費・バス送迎費などは授業料に含まれませんので家庭負担となります。
参考
幼保無償化 スタートで… 相次ぐ施設の“値上げ” 何が起きている? – 特集ダイジェスト – ニュースウオッチ9 | NHK
詳しくはお住まいの自治体へ
2019年10月に始まったばかりの制度であることや、自治体によって制度が異なることから、幼稚園無償化の全体像はなかなか見えてきません。とくに旧制度園の場合は家庭の所得によっても授業料負担が変化する可能性があります。
そのため、「我が家はいったいいくら払えばいいの?」といった具体的な疑問については、お住まいの自治体に問い合わせてください。無償化は年度の途中から始まったため、来年度以降制度が変わる自治体があることも想定されます。最新の情報を入手しておきましょう。
まとめ
幼稚園の無償化とは? 補助金制度があるの? という、始まったばかりの制度に対する疑問について解説しました。年度の途中から始まった制度であるため、自治体のウェブサイト上にある情報も四散していて分かりにくいケースが多いようです。迷ったらまずお住まいの自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
参考
うちの子の場合は?|幼児教育・保育の無償化はじまります。
幼保無償化で便乗値上げ? 園長に直撃、漏らした本音 | 朝日新聞デジタル
子ども・子育て支援新制度について (幼稚園関係者向け) | 内閣府
幼児教育・保育の無償化が始まります|つくば市公式ウェブサイト
幼児教育・保育の無償化についてのQ&A|入間市公式ホームページ