公立中高一貫校の適性検査では作文問題が出題されます。入学試験ではなく「適性検査」と言われるのはなぜでしょうか。当記事では適性検査の目的を踏まえて、ご家庭でできる公立中高一貫校の作文対策をご説明します。また、作文の家庭学習が難しい方のために、塾以外の作文講座・教室をご紹介します。
もくじ
公立中高一貫校の適性検査とは?作文が出題される理由
作文が出題される中学校といえば、一般的に公立中高一貫校です。公立中高一貫校では、なぜ作文が出題されるのでしょうか。私立中学校との入学者決定方法の違いを踏まえてご説明します。
私立中学校との入学者決定方法の違い
公立中高一貫校と私立中学校では入学者決定方法に違いがあります。
【公立中高一貫校と私立中学校の筆記テストの違い】
公立中高一貫校 | 私立中学校 | |
筆記テストの名称 | 適性検査 | 入学試験 |
出題範囲 | 教科を超えた総合問題 | 教科別問題 |
出題意図 | 思考力や表現力を検査 | 知力や学力を検査 |
作文 | ほとんどの学校で出題される | ほとんどの学校で出題されない |
参考
公立中高一貫校は、中等教育の多様化を進めるために、6年間の一貫教育の学習環境を選択できるよう設置されました。そのため公立中高一貫校が、私立中学校のような大学受験のエリート校になったり、受験競争の低年齢化を招くことがないように、学校教育法施行規則によって入学者教科別の学力検査は禁じられています。
そのため、公立中高一貫校では適性検査の「受検」によって入学者を決めるのに対して、私立中学校では入学試験の「受験」によって入学者を決めるという違いがあります。
ただし、多くの中学受験進学塾では、公立中高一貫校対策コースを選択できるようになるのは小学6年生からです。つまり、中学受験進学塾では私立受験者を主対象に授業を行いますので、中学「受験」と表記を統一しているのが一般的です。そこで当記事でも、公立中高一貫校についても「受検」と表記せずに「受験」と表記いたします。
参考
中高一貫教育Q&A:種類・制度・入学に関すること【Q9】 中高一貫教育校への入学者はどのようにして決めるのですか。|文部科学省
公立中高一貫学校の適性検査に合格するための準備
公立中高一貫校に入学するために受ける適性検査で出題される「教科を超えた」総合問題とはどのような内容なのでしょうか。公立中高一貫校適性検査問題集の作文問題編に書かれている目次を見てみましょう。
第1章 環境
第2章 自然・科学
第3章 芸術・言語
第4章 社会
第5章 人とのかかわり
第6章 生き方
(引用元:公立中高一貫校適性検査対策問題集 作文問題編 (公立中高一貫校入試シリーズ) (日本語) 単行本 – 2014/3/14|Amazon)
つまり教科を超えた総合問題には、身の回りで起きているあらゆる出来事や事象が取り扱われることが分かります。受験生はこうした総合問題を読んで得た情報から、自分なりの主張を考え、さらに読み手が納得できるような文章を答案条件を守って書くことができるかを適性試験で試されるわけです。
そのため、公立中高一貫校の適性検査に合格するレベルの思考力や表現力は、一朝一夕で身につけることはできません。そこで次の4点を毎日少しでもよいので鍛錬しましょう。
【公立中高一貫校に合格するための習慣】
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参考
公立中高一貫校の作文問題と求められる能力
では実際に公立中高一貫校の作文問題を具体的に見てみましょう。そして作文問題で確かめる能力とは何かをご説明します。
公立中高一貫校の作文問題とは?過去問を見てみよう
東京都立小石川中等教育学校の適性検査Ⅰから作文問題を一部引用したのが次の問題です。
下に示すのは、文章1と文章2を読んだ後の、ひかるさんとある友だちのやりとりです。このやりとりのあと、ひかるさんが示したと思われる考えを、四百字以上四百四十字以内で書きなさい。ただし、下の条件と次のページの〔きまり〕にしたがうこと。
(引用元:適性検査Ⅰ〔問題⓷〕|東京都立小石川中等教育学校、P7)
次に横浜市立南高等学校附属中学校と横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校の適性検査Ⅰから作文問題を一部引用したのが次の問題です。
言葉について興味をもったみなみさんは、【資料6】を見つけました。【資料6】を読んで、三百字以上三百五十字以内で【資料6】が伝えていることを複数の段落をつくってまとめなさい。ただし題名は書かずに一行目、一マス下げたところから、原稿用紙の適切な使い方にしたがって書くこと。
(引用元:平成三十一年度 適性検査Ⅰ問題7|横浜市立南高等学校附属中学校、P11)
その他全国の公立中高一貫校の過去問題も考慮すると、作文問題には次のような特徴が見られます。
【公立中高一貫校の作文問題傾向】
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作文問題で計られる5つの能力
作文問題の正答は一つに絞ることができません。では作文問題では、受験生のどのような能力を検査したいのでしょうか。
【作文問題で計られる能力】
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参考
【適性検査】作文対策の最前線!得点源にするための必須ステップ(2019.5.28)|適性検査 徹底攻略ブログ
つまり、書いた作文が正答だと相手に理解させるだけの力を持っているかどうかが試されているわけです。
公立中高一貫校に合格する作文の型
300~600字というと原稿用紙約1枚前後の分量です。文字数が指定されている中で必要な思考を盛り込んで書くのは、想像するより難しい作業です。さらに適性検査本番では時間制限というハードルも加わるため、入試本番中に作文問題でつまづくと、焦りから思考が止まってしまう恐れがあります。
そのため、作文の練習に取り掛かるときは「作文の型」に当てはめて書く練習を積み重ねましょう。作文問題の型は次の3段落構成がおすすめです。
【作文問題の型】
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参考
「型」と「お手本」を学べば書けるようになる。苦手を克服するための作文のルールとは?(2018.4.23)|中学受験ナビ
上記の3段落の構成を、まずは100字で書く練習から始めましょう。そして、徐々に字数を増やしていき、志望校の字数制限内でバランスよく書く練習を繰り返しましょう。字数がどうしても足りない場合は、2段落目の補足情報を追加して文量を増やしましょう。