中学校受験が英語を含む5科目制になるのはいつ?現状と将来性を解説 - cocoiro(ココイロ)

2020年度から小学校5・6年生は英語が「外国語」として教科化されます。そこでこれから中学校受験を志す方が気になるのは、英語が入試の必須科目になる可能性や時期ではないでしょうか。当記事では、中学校受験における英語入試の現状と私立中学校が英語入試を取り入れた理由を解説し、今後の英語入試の展望と対策についてご説明します。

中学校受験における英語入試の現状

小学校の英語教育は、2008年度から始まっています。そして2020年度からは小学3・4年生の授業で「外国語活動」として必修化され、小学校5・6年生の授業で「外国語」として教科化されます。ここで注目すべきなのが「教科化」されるということです。つまり、外国語の勉強の成果が成績表で評価の対象となることを意味しています。

この教科化により、中学校受験において「英語が必須科目として追加されるか」が懸念されています。では、現在どのくらいの私立中学校が英語入試を導入しているのでしょうか。

首都圏で最多参加数のオープン模試を行う首都圏模試センターの調査結果によると、私立中学校の英語入試実施校は年々増加しており、首都圏内だけでも2018年入試では112校だったのが、2019年入試では125校に増えていることが分かっています。

参考

2018年首都圏中学入試での「英語(選択)入試」実施校〈私立・国立中〉_一覧_2018年1月9日作成_(計112校※)|首都圏模試センター調べ

2019年首都圏中学入試での「英語(選択)入試」の実施校一覧(推薦入試も含む125校)(2019.1.24)|首都圏模試センター

2020年入試でも、新たに英語入試を実施する私立中学校がありますので、その一部の学校の募集要項を確認してみましょう。

【2020年に英語入試を新設する私立中学校】

学校名 新設した英語入試 2020年度募集要項
佼成学園中学校 Super English(SE)入試 http://www.kosei.ac.jp/boys/junior/outline/
日本大学豊山女子中学校 英語インタビュー入試 https://www.buzan-joshi.hs.nihon-u.ac.jp/admission/exam_j_point.html
三輪田学園中学校 英検利用入試 https://www.miwada.ac.jp/exam/admissions.html
湘南白百合学園中学校 英検利用入試 https://www.shonan-shirayuri.ac.jp/chukou/examination/pdf/2020-jhs-yoko1%C2%88.pdf
淑徳中学校 英語入試 http://www.shukutoku.ed.jp/information/exam-j.html#english

参考

中学受験 「英語を加えた5教科化」が現実的ではない理由(2019.10.6)|NEWSポストセブン、P2

このように、英語入試はさまざまな方法で多くの学校に採用されており、徐々に英語の選択入試が珍しいことではなくなってきていることがうかがえます。

では現在、中学校受験で行われている英語入試はどのような方法があるのでしょうか。

中学校受験で現在行われている英語入試方法

英語入試の方法は大きく分けて3つあります。入試方法と、その方法を採用する理由を見ていきましょう。

1:【選択制】英語を入試科目の一つに選択する方法

中学校受験の入試科目は一般的に算数・国語・理科・社会の4科目です。難関といわれる私立中学校のほとんどは4科目受験を実施していますが、中堅以下の私立中学校では4科目の中から一部選択して受験する方法を実施している場合もあります。

学校により特色のある入試方法が行われていますので、英語を入試科目の一つとして選択する方法の具体例を見てみましょう。

【英語入試を選択制で行う学校の具体例】

学校名 英語入試方法 2020年度募集要項
郁文館中学校 グローバルリーダー

特進クラス入試

  • 国語・算数・英語から2科選択
https://www.ikubunkan.ed.jp/data/M_application_2020.pdf
淑徳SC中等部 特選 [A](Advance)コース

以下2つの試験内容から選択

  • 4科(国語・算数・理科・社会)と面接
  • 3科(国語・算数・英語)と面接
https://ssc1892.ed.jp/rec_jhs/

つまり、4科目のうちいずれかを受験することを基本として、代替的に英語科目を選択する方法です。

英語を入試科目の一つに選択する理由は、中学校入学後に進学塾で4教科を勉強してきた他の生徒と学力差がつかないようにするためです。これにより、中学校での授業が円滑に進行できることを目指していると考えられます。

2:【単一制】入試科目は英語のみで受験する方法

入試科目を英語のみで行う方法を採用している学校を一部例に挙げて、募集要項を見てみましょう。

【英語入試を単一制で行う学校の具体例】

学校名 英語入試方法 2020年度募集要項
北豊島中学校 英語

  • 英語(リスニングあり)と英会話(ネイティブ含む)
http://www.kitatoshima.ed.jp/files/lib/1/223/201909112022368928.pdf
工学院大学附属中学校 一般入試で英語のみを選択

  • 英語と面接
https://www.js.kogakuin.ac.jp/admissions/junior/exam.html

つまり、算数・国語・理科・社会の4科目いずれも受験せずに、英語のみで勝負する方法です。

入試科目を英語のみにする理由は、学校のグローバル教育方針を前面に出すことや、募集人員を満たすために進学塾に通わなかった子供に受験機会を与えることが考えられます。

3:【英語資格利用】取得資格を合否に反映させる方法

大学入試で使用できる予定の英語4技能試験は、次の7つです。

  1. ケンブリッジ英語検定
  2. 実用英語技能検定(英検)
  3. GTEC
  4. IELTS
  5. TEAP
  6. TEAP CBT
  7. TOEFL iBT

各検定試験の詳細は下記参考をご覧ください。

参考

資格・検定試験 比較一覧表|英語4技能試験情報サイト

英語検定資格の取得した級を、中学校受験の採点に加算することができる私立中学校もあります。中でも、日本の小学生になじみのある実用英語技能検定(通称、英検)を合否判定に反映させる学校をまとめたのが下のページです。

参考

英検入試活用校検索 中学校|公益財団法人 日本英語検定協会

英語の取得資格を合否に反映させる方法の場合、受験当日に英語の試験を受ける必要はありませんが、検定資格を別日に受けに行く必要があります。小さな頃から英語教育を取り入れる家庭が増えている中で、検定試験を受ける小学生も多く、これまでの英語勉強の成果を反映できる入試方法と言えます。