作文のかぎかっこルール解説。位置は?一番下のマスはどうする?

大人になるとほとんど使う機会が訪れない原稿用紙。小学生のころに使い方を習ったものの、すでに忘れてしまったという人も少なくないのではないでしょうか。子供が作文を書いているのを見て「原稿用紙の使い方はこれでよかっただろうか」と疑問に思うこともあるかもしれません。本記事では解くに勘違いしやすい、かぎかっこの使い方を解説します。実際に原稿用紙を見て確認していきましょう。

作文でかぎかっこはいつ使う?

まずは作文でかぎかっこを使う条件を確認しておきましょう。他のかっこ記号である二重かぎかっこ『』やまるかっこ()といったかっこの記号と違い、かぎかっこは以下のときに使用します。

会話文

登場人物が話す内容を「地の文」と区別するために使います。以下本記事では、かぎかっこを使う分かりやすい例として江戸川乱歩の「月と手袋」を使用します。この作品はパブリックドメインになっているため「青空文庫」などでテキストデータが入手できます。

 克彦にとって、問題は、しかし、金のことではなかった。あけみと交渉を断つという第一条件には、どう考えても堪えられそうになかった。彼らはお互たがいに命がけで愛し合っていた。だが、正当の夫である股野に、あけみを譲れとは云えなかった。それを云い得ない社会の掟おきてというものに、ギリギリと歯ぎしりするほどの苦痛があった。彼はふと、それに対抗するものは「死」のほかにはないとさえ感じた。

「君はあけみさんをどうするのだ。あけみさんまで罰する気か」

「それは君の知ったことじゃない。あれもこらしめる。おれの思うようにこらしめる」

「ねえ、君の条件は全部容れる。あの人を苦しめることだけはやめてくれ。罪はおれにあるんだ」

(引用元:江戸川乱歩 月と手袋 | 青空文庫

引用文の後半は会話文になっています。ふたりの人物が交互に話していることを分かりやすくするため、それぞれの発言をかぎかっこでくくります。

自分の考え

実際に発言する内容だけでなく、登場人物や語り手が頭の中で考えたことを表すときにもかぎかっこを使います。前掲の「月と手袋」であれば、以下の部分が該当します。

彼はふと、それに対抗するものは「死」のほかにはないとさえ感じた。

(引用元:江戸川乱歩 月と手袋 | 青空文庫

死というのは一般名詞ですが、あえてかっこでくくることによって克彦が思い浮かべた誰かの死のことを具体的に表す表現になっています。

引用

引用とは、別の著作物から文章をそのまま紹介することです。著作権者の了承が必要な転載と違い、引用は要件を満たしている限り許可を得ずに行うことができます。引用として認められるためにはいくつかの要件がありますが、その中の一つに地の文からはっきり区別できていることが挙げられます。

 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに利用することができます(第32条)。

この法律の要件の中に、「公正な慣行に合致」や「引用の目的上正当な範囲内」のような要件があるのですが、最高裁判決(写真パロディ事件第1次上告審 昭和55.3.28)を含む多数の判例によって、広く受け入れられている実務的な判断基準が示されています。例えば、[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性が該当します。

(引用元:著作権なるほど質問箱 | 文化庁

上記の条件のうち「[2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること」を満たすためにかぎかっこが使われることがあります。かぎかっこでくくられている部分は一目見て、地の文と区別できるためです。ただし、この方法は一文のみなどの短い引用文のときが有効です。

ある程度まとまった文章を引用する場合は、かぎかっこだけでは地の文との区別がつきにくくなります。そのため改行・空行を用いて一目で地の文から離れていることが分かるようにします。

かぎかっこの基本的な使い方

作文でかぎかっこを使う条件について確認しました。続いては原稿用紙にかぎかっこをどう書けばいいのか解説します。

かっこはそれぞれ1マス使う

先ほど引用した「月と手袋」の一部を使って考えてみましょう。

彼はふと、それに対抗するものは「死」のほかにはないとさえ感じた。

「君はあけみさんをどうするのだ。あけみさんまで罰する気か」

(引用元:江戸川乱歩 月と手袋 | 青空文庫

これを原稿用紙に書くと画像のようになります。

かぎかっこは1マス使って書きます。はじめかっこ・閉じかっこ両方に1マス使いますので、計2マスが必要です。

句点と閉じかっこは同じマスに入れる

かぎかっこは1マス使って書き、他の文字と同じマスに入れないのが基本です。ただし、例外的に同じマスに別の文字が入る場合があります。それは句点や疑問符など一文を終わらせる記号がある場合です。

句点や疑問符など文の最後が記号で終わる場合は、記号と閉じかっこを同じマスの中に書き入れます。

行の1マス目に閉じかっこを書いてはいけない

ここまではかぎかっこ特有の使い方を見てきました。もう一つ確認しておきたいのは、原稿用紙のルールです。原稿用紙に作文を書くときは、行の1マス目に記号を書き入れてはいけないことになっています。以下の画像を見てください。

どちらも「どんな覆面?服装は?」という疑問文を原稿用紙に書いています。左側はしてはいけない例です。

前行の最後のマスがちょうど終わってしまった場合は、その下に記号を書き入れましょう。文字とかぎかっこのみであれば同じマスの中に入れてしまっても構いません。

画像右側のように『 は?」 』という3つの文字、記号が最後のマスに来てしまう場合もあります。これら3つを1マスの中に入れることができません。このような場合は原稿用紙の枠をはみ出させ、空欄に記号を書き入れましょう。