青年期の年齢ごとの課題
エリクソンが提唱する青年期の発達課題はもちろんですが、一般的には青年期は同一性(アイデンティティ)の課題以外にも、さまざまな問題に直面します。青年期を前期と後期に分けて、それぞれの課題について紹介します。
青年期(前期)
青年期の前期は、ちょうど中学生になるタイミングです。思春期に突入し、 親や友達との関係にも変化が生まれてくる時期といえるでしょう。また、自意識が芽生え、周囲と自分との違いに悩み、葛藤を繰り返しながら自分なりの生き方を探る時期でもあります。大人との関係よりも友人関係にフォーカスしたり、親に対する反抗期を迎えたりと、思春期特有の課題が表れます。
子供によっては仲間同士のつながりを優先したり、一方で他者との交流に消極的になり、引きこもりになってしまうこともあります。青年期の前期は人間関係や生活習慣の変化に気付き、自分の居場所を見つけることが大切なポイントとなりそうです。
青年期(後期)
青年期の後期は、高校を卒業し、親元を離れて社会へ出て行く人が増える時期です。自立した大人になるための移行時期であり、思春期の混乱を終えながらも社会でどう生きていくのかを模索していく必要があります。青年期後期で大切なことは、将来について真剣に考え、自分自身と向き合うことです。目の前の楽しさを追い求めていては、自己を確立することも、社会で人間関係を築いていくことも難しくなってしまいます。
特定の仲間との集団の中では濃密な人間関係を保つことができても、集団の外の人に対しては無関心となれば、社会に対する関心が低くなってしまいます。青年期の後期は自分が社会の一員という自覚を持ち、行動することがより求められるでしょう。
青年期の子供に保護者がサポートできることは?
青年期の発達課題は自己の確立と社会における自分の位置を確認することです。アイデンティティの確立は周囲との関係が大きな意味を持つため、青年期の子供を持つ親御さんは、子供を一人の大人として認識し、過保護になりすぎず、それでいてコミュニケーション不足にならないように接する必要があるでしょう。子供が意見を求めてきたら話を聞き、自信の経験を基にアドバイスするのも効果的でしょう。
不安定になりやすい青年期は、思春期だからといって子供を孤立させるのではなく、子供としっかりとコミュニケーションを取りながら問題の解決を探るのがいいでしょう。
青年期の発達課題は親のサポートも大切
青年期の発達課題である同一性(アイデンティティ)は、青年期を過ぎても常にぶつかる課題ではないでしょうか。「自分とは何か」というアイデンティティの確立は、青年期の経験が大きく影響するといいます。青年期の発達課題について理解し、精神的に大きく成長できるよう協力し合うことが大切です。
参考
青年期後期の発達課題 | 機能的文脈主義を研究する会、ACT勉強会
エリクソンライフサイクル④ Ⅴ期ー思春期・青年期(13から22歳)「アイデンディティ/アイデンディティの拡散、」-仲間を鏡にして自分を見出す|精神科医としての心の部屋
発達心理学2.青年期の心理、モラトリアム、アイデンティティ、自分探し|(心理学総合案内こころの散歩道)