慶應義塾中等部の特長
慶應義塾中等部の井上逸兵部長は学校ホームページで、中等部の教育について次のように述べています。
中等部は、創設に当たって「自立した個人を育む、自由な」教育を理念として高く掲げました。
(中略)
このような理念のもとに、中等部では、「学業」「校友会活動(クラブ活動)」「学校行事」を教育の3本の柱としています。この学校は受験を目標にする学校ではありません。したがって勉強で他と競うことを主な目的としていませんが、きちんとした学力を身につけ、幅広い教養を身に付けるよう学業に勤しんでいます。そして、校友会活動、学校行事の様々な活動を通して、個々の生徒の様々な能力と創造性を高め、社会において共生する力を、これからの新しい時代を生き抜くために、身につけてもらいたいと願っています。
(引用元:ご挨拶|慶應義塾中等部)
では、具体的に慶應義塾中等部の注目すべき特長を見ていきましょう。
1.小学校から大学までの一貫教育
慶應義塾は、小学校から大学・大学院までの一貫教育を通じて、社会を支える自立した個人の育成を行います。慶應義塾の一貫教育校を表にまとめました。
【慶應義塾の一貫教育校一覧】
小学校 | 中学校 | 高校 | 大学・大学院 |
慶應義塾幼稚舎 | 慶應義塾中等部(男女共学)
慶應義塾普通部(男子校) |
慶應義塾高等学校(男子校)
慶應義塾志木高等学校(男子校) 慶應義塾女子高等学校(女子校) ニューヨーク学院高等部(男女共学) |
慶應義塾大学
慶應義塾大学院 (全学部男女共学) |
慶應義塾横浜初等部 | 慶應義塾湘南藤沢中等部(男女共学) | 慶應義塾湘南藤沢高等部(男女共学) |
(小中高一貫教育|慶應義塾横浜初等部より筆者作成)
湘南藤沢中等部・高等部を区分けした理由は、湘南藤沢中等部からほかの一貫教育高校への内部進学ができないためです。また、普通部・中等部から湘南藤沢高等部への進学はできますが、人数に制限があります。
2019年度の慶應義塾中等部卒業生が内部進学した人数を高校ごとにまとめた表が次のようになっています。
【慶應義塾中等部の2019年度内部進学者数まとめ】
男子(人) | 女子(人) | |
慶應義塾高等学校(男子校) | 137 | - |
慶應義塾志木高等学校(男子校) | 15 | - |
慶應義塾女子高等学校(女子校) | - | 92 |
慶應義塾ニューヨーク学院高等部(男女共学) | 2 | 1 |
慶應義塾湘南藤沢高等部(男女共学) | 2 | 1 |
他校 | 0 | 1 |
合計 | 156 | 95 |
内部進学率 | 100% | 99% |
(教職員と生徒|慶應義塾中等部より筆者作成)
慶應義塾大学というと、学部によって異なりますが、偏差値57.5~72.5の最難関私立大学の1つであり、有名企業への就職にも強いことで知られています。そのため、一貫教育校である慶應義塾中等部に合格できれば、よほど学業をさぼらない限りは、将来安定した収入を期待できます。
また、大学卒業まで自分の個性を磨く時間に余裕があるため、本人のやる気次第で中学生のころからさまざまな分野の専門的知識を学んだり、経験を積んだりできるという魅力があります。
2.独立自尊の精神を持ち、豊かな人間性を磨く
慶應義塾中等部は「自立した個人を育む、自由な教育」が理念ですが、この「自由」と「自立」について、井上逸兵部長は次のように述べています。
自立した個人に求められるのは「自分で考える」「自分で判断する」「自分で行動する」、そして「その結果に責任を持つ」ということです。それを可能にするのが本当の意味での「自由」です。
(引用元:ご挨拶|慶應義塾中等部)
つまり、自由勝手に振る舞うことが「自由」なのではなく、最終的に自分で責任を取れる範囲で判断し行動を起こすことこそが「自由」と考えられているのです。
慶應義塾中等部では、主体的な行動や判断を行い、自らの行動に責任を取ることのできる豊かな人間性を持った人材の育成を目指しています。
3.制服はないが、行事で着る基準服(ブレザー)がある
制服がないため、通学は私服で行います。私服は年齢にふさわしく、かつ個性を生かしているのが望ましいと考えられていますが、基準はあえて設けられておらず、各生徒や家庭の判断に任されています。ただし、行事の際にはブレザーの基準服の着用が義務付けられています。
基準服の詳細や画像は、下記参考をご覧ください。
参考
4.先生と生徒の距離が近い
慶應義塾の創始者である福沢諭吉が上下関係を問わず誰に対しても「さん」付けで呼んでいたことから、慶應義塾中等部の生徒は先生を「さん」付けで呼ぶという伝統があります。
また、教室には生徒と教育の場を区別する教壇がありません。これは、教壇から先生が生徒を見下ろす授業形式を取らないためです。
さらに生徒は、試験前数日以外は、教員室に自由に出入りすることができます。
このように、先生と生徒の距離を縮めて自由なコミュニケーションをとれる工夫がなされています。
5.クラブ活動が活発
受験勉強がないことから勉強漬けの生活を長期間送ることはありません。クラブ活動に打ち込む時間的な余裕があるため、活動が盛んに行われています。
慶應義塾中等部のクラブは「校友会」と呼ばれており、17の運動部と22の学芸部が活動しています。校友会活動への参加は自由で、各部の活動が原則3日以内なので運動部と学芸部を兼部することもできます。
校友会活動の詳細については、下記参考をご覧ください。
参考